プレスリリースに載る写真の条件|メディアが転載できる1枚を用意する

プレスリリースの写真は、出来の良し悪しではなく「メディアがそのまま使える条件を満たしているか」で採否が分かれます。記事のレイアウトに合わせて切れるか、載せられる大きさで届いているか、誰に断れば使ってよいかが書いてあるか。この3つが揃っていない写真は、どれだけきれいでも編集部の手元で止まります。

目次
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結論|プレスリリースの写真は「良いか」ではなく「使える条件を満たすか」で決まる

PRESS RELEASE PHOTO

プレスリリースに添える写真を撮影するためのカメラと機材を並べたイメージカット

プレスリリースを出したのに記事にならなかった、あるいは記事にはなったけれど写真は使われなかった。そういうご相談をいただくたびに、まず写真そのものではなく、写真の渡し方を拝見しています。理由は単純で、写真が使われない原因の多くが撮影の質ではなく、編集部が使える状態になっていないことにあるからです。

編集部の側に立ってみると分かりやすくなります。受け取った写真を記事に入れるには、自社のレイアウトに合わせて切り、必要なサイズで書き出し、権利関係に問題がないことを確認し、必要ならクレジットを添える必要があります。この工程のどこか1つでも詰まると、担当者はその写真を諦めて、文字だけの記事にするか、自分たちで用意した別の素材に差し替えます。写真が落ちるのは、多くの場合この段階です。

つまりプレスリリースの写真は、「きれいに撮る」より前に「使える条件を満たす」という関門があります。そしてこの条件は、撮影が終わってからでは取り返しがつかないものが少なくありません。横位置のカットを撮っていなければ、後から横位置にはできません。文字を焼き込んだ画像を渡してしまえば、編集部はそれを記事の本文と並べにくくなります。条件は撮影の前に決めるものです。

この記事では、プレスリリースに載る写真の条件を、編集部の都合から逆算する形で整理します。メディアが使えない理由の構造、リリース種別ごとに必要な写真の違い、メインカットと補助カットのセットで用意する考え方、撮影段階で決まる実務条件、権利の整理、データの渡し方、そして発表日から逆算した撮影日の置き方までを書きます。

先にお断りしておくと、プレスリリース配信サービスごとの投稿仕様(画像の推奨サイズ、枚数、形式、ファイル容量の上限など)は、この記事では断定しません。サービスによって仕様が異なり、改定もされるためです。実際に入稿する段階では、利用する配信サービスの最新の規定をそのつどご確認ください。この記事が扱うのは、どの配信サービスを使うかに関係なく成り立つ、メディア側の事情から出てくる条件のほうです。

メディアが写真を使えない理由は「良くないから」ではなく「条件を満たしていないから」

メディアが写真を使わない理由の大半は、写真の質ではなく条件の不足です。トリミングに耐えない、載せられる大きさがない、権利の所在が書かれていない、クレジット表記の要否が分からない、見出しを乗せる余白がない。この5つが、編集部の手元で写真が止まる典型的な理由です。

ここを取り違えると、対策の方向がずれます。「写真が使われなかったのは、もっと良い写真が必要だったからだ」と考えて撮影費を上げても、条件が同じなら結果は変わりません。逆に、条件さえ整っていれば、素材としての写真は派手である必要がありません。編集部が求めているのは作品ではなく、記事の中で機能する素材です。

編集部の側で何が起きているのか

編集部は、受け取った写真を自分たちの型に入れ直して使います。記事の先頭に置くサムネイル、本文中の図版、SNSのカード、紙面のスペース。それぞれ縦横の比率も必要な大きさも違うので、届いた写真をそのまま使うことは、むしろ少ないほうです。届いた写真は「切られる前提の素材」として扱われます。

もう1つ、編集部には権利の確認という仕事があります。写っている人物、他社の製品やロゴ、背景に映り込んだ建物や作品。使ってよいのかどうかを判断する材料がリリース側から提供されていないと、担当者は「確認に時間がかかるから、この写真はやめておこう」という判断をします。確認の手間が大きいほど、写真が落ちる確率は上がります。

この2つを合わせると、発注側が満たすべき条件が逆算できます。以下の表は、編集部の側で起きることと、そこから出てくる条件を対応づけたものです。ここに並んでいる項目は、撮影の腕とはほとんど関係がありません。段取りの問題です。

編集部の側で起きることなぜ起きるか発注側が満たしておく条件
記事の型に合わせて写真を切るサムネイル、本文中の図版、SNSのカード、紙面と、必要な縦横比が媒体ごとに違う主役の周囲に余白を残して撮る。同じ場面を横位置と縦位置の両方で押さえておく
掲載サイズに書き出す画面だけでなく紙面に回る可能性がある。大きく使いたいときほど元データの大きさが要る画面表示用に縮小したデータだけを渡さない。撮影データの原寸を渡せる状態にしておく
写真の上に見出しや文字を乗せる記事の先頭画像やSNSカードでは、写真の上にタイトルを重ねるレイアウトがある主役を画面いっぱいに詰め込まず、文字が乗る空きのあるカットを1枚は用意する
権利に問題がないか確認する人物、他社の製品やロゴ、第三者の著作物が写っていると、そのまま掲載できない場合がある誰に許諾を取ってあるのか、報道での利用を許諾できる状態かを、写真と一緒に伝える
クレジット表記の要否を判断する表記が必要な写真を無表記で載せると、後から指摘を受ける可能性がある表記が要るのか要らないのか、要るなら表記文をそのまま使える形で添える
記事の長さに対して素材が足りない本文が長い記事では、写真1枚では途中が文字だけになるメインカットに加えて、寄り・引き・人物・使用シーンなどの補助カットを揃える
広告物に見える素材を避けるキャッチコピーや価格を焼き込んだ画像は、記事ではなく広告として扱わざるを得ない文字を焼き込んでいない写真を渡す。文字入りの画像が要るなら、文字なし版と両方用意する

この表の項目は、どれも撮影日より前に決められます。逆に言えば、撮影が終わってから気づくと、どれも取り返しがつきません。プレスリリースの撮影を発注するときに、撮影者へ伝えるべきことがここに集約されています。

効果を約束する話ではなく、土俵に乗る話

条件を満たしたからといって、記事になることが約束されるわけではありません。取り上げるかどうかを決めるのは媒体側であり、写真の条件はその判断材料の一部にすぎないからです。ここは正直に書いておきます。

一方で、条件を満たしていない写真は、内容が取り上げられたとしても写真だけが落ちます。これは確実に起きます。つまり写真の条件を整えることは、掲載を増やす施策というより、掲載されたときに自社の写真が載る状態を作る作業です。同じ記事でも、自社が用意した写真が載るのと、媒体が用意した無関係な素材が載るのとでは、その後の効き方が違います。

この差は、記事が公開された後にも続きます。記事に使われた写真は、その記事が引用・転載されるたびに一緒に回ります。SNSでシェアされたときにカードに出るのも、その写真です。1回の掲載で終わらず、素材として残り続けるところが、プレスリリースの写真の特徴です。

プレスリリースの種別ごとに、要る写真は違う

プレスリリースに要る写真は、リリースの種別で変わります。新商品・新サービス、資金調達・人事・役員、新拠点・オープン、イベント・カンファレンス、調査リリース。この5つは、記事になったときに写真が担う役割が違うため、必要なカットも変わります。

ここを一律に「良い写真を1枚」で済ませようとすると、種別によっては必要な素材が足りません。調査リリースのように、そもそも写真の主役が存在しない種別もあります。まず自社のリリースがどれに当たるかを決めてから、必要なカットを起こしてください。

リリース種別写真の主役メインカット補助カット特に注意する条件
新商品・新サービスモノ、または画面製品の全体が分かる横位置のカット。背景は整理し、周囲に余白を残す寄りのディテール、使用シーン、手に持ってスケールが分かるカット、パッケージ単体色と質感が実物とずれないこと。価格やコピーを焼き込まないこと。サービスなら画面のダミーデータに実在の個人情報が入らないこと
資金調達・人事・役員人役員・代表の上半身ポートレート(横位置・背景に余白)縦位置の同カット、表情違い、執務中の様子、複数名なら個別と並びの両方1人につき複数の表情を残すこと。服装と背景が数年使える中立さであること。役職表記と氏名の読みを添えること
新拠点・オープン場所外観の引き(看板・入口が分かる横位置)内観の引きと寄り、設備、働く人が入ったカット、地図に代わる周辺の様子他社の看板やロゴ、通行人、車のナンバーの写り込み。工事中の資材や仮囲いが残っていないこと
イベント・カンファレンス場の状況会場全体の引き(人の入りと規模が分かる横位置)登壇者の寄り、聴講者の反応、展示・ブース、受付やサイン類、記念撮影来場者の顔が特定できる形で写る場合の扱い。他社の掲示物やロゴの写り込み。開始前ではなく人が入った状態の引きを押さえること
調査・レポートリリース主役が存在しないグラフや図版が主役になるため、写真は記事の入口として機能する1枚を用意する調査対象を象徴するイメージカット、担当者・研究者のポートレート、現場の様子数字と矛盾しない絵にすること。図版は写真とは別に、文字が読める大きさのデータで渡すこと

モノが主役のリリース|色と余白で決まる

新商品・新サービスのリリースでは、製品そのものが分かるカットが先に要ります。編集部が最初に必要とするのは、記事の冒頭に置いて「何の話か」を一目で伝える1枚だからです。凝った演出より、全体の形が分かり、色が実物とずれていないことのほうが効きます。

背景は、切り抜きやすさで決めます。白背景や無地の背景で撮っておくと、媒体側が自分たちのレイアウトに合わせて背景を置き換えたり、他の製品と並べたりできます。逆に背景が作り込まれた写真は、その世界観ごと使うことになるので、媒体の型に合わないと落ちます。白背景とイメージカットの使い分けはEC商品撮影の白背景とイメージカット、どう使い分けるかに整理しました。プレスリリース用の撮影では、両方を同じ日に押さえておくと後から困りません。

ソフトウェアやアプリのように実体がない商材では、画面のキャプチャが製品写真の代わりになります。このとき見落とされやすいのが、画面内のダミーデータです。デモ環境のスクリーンショットに実在の氏名やメールアドレス、取引先名が残っていると、そのまま公開できません。キャプチャを作る段階で、表示する名前や数値を決めておいてください。

人が主役のリリース|1カットしか残っていない問題

資金調達・人事・役員のリリースでは、人物写真が主役になります。ここで頻発するのが、使える人物写真が1カットしかないという事態です。数年前に撮った1枚を使い回していて、横位置しかない、あるいは縦位置しかない。媒体が求める向きと違うと、そこで止まります。

手配する側として見ていると、資金調達のリリースは日程が動きます。発表日が前倒しになることも、直前まで確定しないこともあります。そのため「発表が決まってから撮る」という段取りだと間に合いません。役員のポートレートは、リリースの予定がある・なしに関わらず、横位置と縦位置、表情違いを揃えて保管しておくのが実務的です。役員写真そのものの作り方は社長・役員のプロフィール写真、失敗しないための全知識にまとめました。

資金調達のリリースでは、人物写真以外にも必要になる素材があります。投資家向けの資料、拠点の様子、チームの写真。調達の場面で写真がどこに要るのかはスタートアップの資金調達で写真が要る8つの場面に整理してあるので、リリースだけでなく前後の工程まで含めて素材を組みたい場合はそちらをご覧ください。

人事のリリース、特に新任役員の発表では、撮影のタイミングが難しくなります。就任前は社外に出せず、就任日に合わせて発表するとなると、撮影できる期間が限られるためです。発表日が決まった時点で、その人が撮影に出られる日を先に押さえてください。人物の撮影は本人の予定に依存するので、機材や会場より先に押さえるべき項目です。

場所・場の状況が主役のリリース|人が入っているかで別物になる

新拠点・オープンとイベント・カンファレンスのリリースでは、その場に人が入っているかどうかで写真の意味が変わります。無人の会場や空室の状態は、施設の説明にはなりますが、出来事の記録にはなりません。記事になるのは出来事のほうです。

新拠点のリリースでは、外観と内観に加えて、実際に働いている様子のカットを1枚入れておくと使い道が広がります。建物だけの写真は不動産の紹介に見えますが、人が入ると会社の話になります。竣工のタイミングで撮る写真をどう組むかは建築・不動産の竣工写真は誰に頼むべきかに書きました。開業・移転のリリースと、施設そのものの記録は、同じ撮影でまとめて押さえられます。

イベントのリリースは、開催前と開催後で出す内容が違います。開催前の告知なら会場や登壇者の写真、開催後の報告なら当日の様子です。報告のリリースを出す予定があるなら、当日の撮影でリリース用のカットを最初から狙っておかないと、記録写真の中から探すことになります。イベント撮影を進行台本から組み立てる手順は社内イベント・表彰式の撮影で押さえるべきことに、展示会の写真を後から使い回す設計は展示会ブースの撮影を、翌年の集客資産に変える方法に整理してあります。

調査・レポートのリリースは、5種別の中で最も写真が弱くなりがちです。主役になる実体がないためです。この場合、写真は記事の入口として機能させる役割に切り替えます。調査の対象を象徴する場面、担当者や研究者のポートレート、調査を行った現場。図版そのものは写真とは別に、文字が読める大きさで用意してください。

写真が1枚しかないリリースは弱い|メインカットと補助カットをセットで用意する

プレスリリースに添える写真は、1枚では足りません。メインカット1枚と補助カット数枚のセットで用意するのが基本です。理由は2つあり、記事の長さに対して素材が足りなくなること、そして媒体ごとに必要な向きと絵柄が違うことです。

媒体の側から見ると、写真が1枚しかないリリースは「その1枚が自分たちの型に合うかどうか」の一発勝負になります。合えば使われ、合わなければ落ちます。複数枚あれば、どれかが合う確率が上がります。これは撮影の質とは別の、単純な確率の話です。

もう1つ、記事の長さの問題があります。取り上げてもらった記事が長文になった場合、写真が1枚だと途中から文字だけが続きます。編集部はそれを避けたいので、素材が足りなければ自分たちで用意するか、記事を短くします。どちらも自社にとって得ではありません。

以下は、種別に関わらず最低限そろえておきたいカットの表です。「1枚あたり何秒かかるか」ではなく「役割ごとに1枚ずつ」と考えると、撮影の段取りが組みやすくなります。同じ被写体を向きと寄り引きで変えるだけなので、撮影時間が何倍にもなるわけではありません。

役割何を撮るか向きと構図枚数の目安
メインカットリリースの主役が一目で分かる絵。記事の先頭に置かれることを想定する横位置。主役を中央寄りに置き、上下左右に余白を残す1〜2枚
メインの向き違いメインカットと同じ被写体・同じ状況を、縦位置でも押さえる縦位置。紙面やSNSの縦型表示に回る場合に効く1枚
寄りのカット製品のディテール、表情、手元、素材の質感など、近づかないと分からない部分横位置を基本に、対象によって縦位置も2〜3枚
引きのカット周囲の環境ごと写した絵。場所の規模や文脈が伝わる横位置。人や物が小さくなりすぎない距離で1〜2枚
人が入ったカット使っている人、働いている人、話している人。会社の話であることが伝わる横位置と縦位置を両方。視線はカメラ側とそれ以外の両方を残す2〜3枚
スケールが分かるカット手に持つ、隣に人が立つなど、実物の大きさが伝わる絵横位置。比較対象が切れないフレーミング1枚
単体・切り抜き用製品、パッケージ、ロゴの入った什器など、背景を整理した単体カット無地の背景。周囲を広めに取り、切り抜きの余地を残す1〜2枚

この表は、そのまま撮影者へ渡すカット一覧としても使えます。役割の列と「何を撮るか」の列を自社のリリース内容に置き換えれば、撮影当日に何を押さえるべきかが撮影者と共有できます。カット一覧がないまま撮影に入ると、その場の判断でカットが増減し、後から足りない役割が出てきます。

枚数を増やすことと、同じような絵を並べることは違います。似た構図の写真を10枚渡されても、編集部にとっては1枚と変わりません。役割の異なるカットが5枚あるほうが、同じ構図が20枚あるより使われます。渡す枚数を増やすときは、絵柄が重複していないかを確認してください。

撮影段階で決まる条件|横位置・余白・焼き込み・視線・背景

撮影段階で決まってしまう条件は4つあります。横位置で余白を残して撮ること、写真に文字を焼き込まないこと、人物の視線と表情に幅を持たせること、背景に他社のロゴや個人情報を入れないこと。この4つは、撮影が終わってからでは直せません。

撮影者に伝えるべきことも、ここに集約されます。プレスリリース用に使う予定があると伝えておけば、撮影者は構図の作り方を変えます。逆に伝えていなければ、通常の企業撮影の作法で撮ることになり、余白のない構図や縦位置だけのカットが上がってくることがあります。撮影者が悪いのではなく、用途が共有されていないだけです。

横位置で、余白を残して撮る

プレスリリース用のメインカットは、横位置で、主役の周囲に余白を残して撮ります。編集部が自分たちのレイアウトに合わせて切る前提だからです。主役を画面いっぱいに配置した写真は、切った瞬間に主役が欠けます。

私は元カメラマンとして製品や人物を撮っていた頃、掲載先が決まっていない撮影では、いつも「少し引いた1枚」を残すようにしていました。詰めた構図のほうが写真としては気持ちよく決まりますが、それは掲載先の型が分かっている場合の話です。どこに載るか分からない素材では、余白が保険になります。切ることはできても、後から足すことはできません。

余白は、文字を乗せる場所としても効きます。記事の先頭画像やSNSのカードでは、写真の上にタイトルが重なるレイアウトがあります。主役の上や横に空きがあれば、その位置に文字を置けます。空きがなければ、主役の顔や製品の上に文字が乗ることになり、媒体側はその写真を避けます。

縦位置を撮らなくてよいという意味ではありません。横位置を基本にしたうえで、同じ場面の縦位置も残しておくのが正解です。紙面のレイアウトや、縦型の表示面では縦位置が要ります。撮影の現場では、横位置を撮った直後にカメラを縦にして同じ構図を1枚押さえるだけなので、手間はほとんど増えません。

写真にテキストを焼き込まない

プレスリリースに添える写真には、文字を焼き込まないでください。キャッチコピー、価格、キャンペーン期間、ロゴの大きな重ね。これらが入った画像は、記事の素材ではなく広告のバナーとして扱われます。

編集部の側から見ると、文字入りの画像は扱いづらい素材です。記事の本文で説明している内容と画像内の文字が重複しますし、記事の見出しと画像内のコピーが並ぶと読みにくくなります。さらに、画像内の文字は媒体側で修正できません。日付や価格が変わったときに差し替えが効かない素材になります。

販促用に文字入りの画像を作っている場合は、文字なしの元写真も一緒に用意してください。配信サービスのページ上では文字入りの画像が見栄えする場面もありますが、記事に転載されるのは文字なしのほうです。両方を揃えておけば、どちらの使われ方にも対応できます。

撮影データに透かし(ウォーターマーク)を入れるのも避けてください。無断転載を防ぐ意図があるとしても、報道向けに提供する素材に透かしが入っていると、そのままでは使えません。転載の範囲を制御したいなら、写真に手を加えるのではなく、提供条件を文章で伝えるほうが確実です。

人物は、視線と表情に幅を残す

人物カットは、視線と表情を1種類に絞らず、幅を持たせて撮ります。カメラ目線の笑顔だけを揃えると、使える記事の文脈が限られるためです。同じ人物でも、記事の内容によって求められる表情が違います。

具体的には、カメラを見ている絵とカメラ以外を見ている絵、口角を上げた表情と落ち着いた表情を、それぞれ押さえます。資金調達や新事業のリリースなら前向きな表情が合いますが、事業の転換や体制の変更を伝えるリリースでは、笑顔が内容とちぐはぐになることがあります。同じ撮影の中で幅を作っておけば、後から選べます。

執務中や対話の場面を撮っておくのも有効です。ポートレートだけだと記事の中で1箇所にしか置けませんが、働いている様子のカットがあれば本文の途中にも入れられます。人物リリースで写真が1枚しか使われない原因の1つが、この「ポートレートしかない」状態です。

複数名が登場するリリースでは、個別のカットと並びのカットを両方撮ります。並びだけだと、媒体が1人にフォーカスした記事を書くときに使えません。個別だけだと、チームや体制の話に使う絵がありません。役員が複数名いる場合は、撮影の日を合わせて一度に押さえるのが効率的です。大人数のポートレートをまとめて揃える進め方は100人規模の社員写真を揃える進め方に整理しました。

背景に、他社のロゴや個人情報を入れない

背景の写り込みは、撮影後に対処するより撮影前に消すほうが早く済みます。他社の製品やロゴ、取引先名の入った掲示物、モニターに表示された社内資料、机の上の書類、社員の私物。これらが写った写真は、媒体側が掲載を避ける理由になります。

実務では、撮影の30分前に現場を片付ける時間を取っておくと、ほとんど解決します。書類を伏せる、ホワイトボードを消す、モニターの表示を切り替える、他社のロゴが入った備品を画角から外す。この作業を撮影者に任せることはできません。何が社外に出せない情報なのかを判断できるのは、その会社の人だけだからです。

後処理で消すという選択肢もありますが、消した箇所が不自然になることがあり、修正量が増えれば納期にも響きます。それに、報道向けの素材を大きく加工することは、写真の性質上も避けたいところです。撮影前の片付けのほうが、あらゆる意味で安全です。

屋外や会場での撮影では、通行人や来場者、車のナンバーが入ります。人が写る場面での同意の取り方や、同意書を誰が用意するのかはモデルリリース(肖像権同意書)は誰が用意するのかに整理してあります。報道向けに提供する写真では、社内利用より確認すべき範囲が広くなる点に注意してください。

使える写真かどうかを、渡す前に確認する

撮影が終わったら、写真を渡す前に条件を1つずつ確認します。確認する項目は、向き、余白、大きさ、色、文字の有無、写り込み、権利、クレジット、キャプション、ファイル名の10項目です。ここで止められる問題は、渡した後では止められません。

この確認は、撮影者ではなく発注側の仕事になります。撮影者は写真の品質を判断できますが、社外に出せない情報が写っているかどうか、どの範囲で許諾が取れているかは判断できないためです。納品されたデータを、広報の担当者が1枚ずつ見る時間を工程に入れておいてください。

確認項目満たしている状態満たしていないと何が起きるか
向きメインの場面について、横位置と縦位置の両方がある媒体が求める向きと合わず、その1枚が候補から外れる
余白主役の周囲に空きがあり、切っても主役が欠けない媒体の型に切ると主役が欠ける。文字を乗せる場所がない
大きさ撮影データの原寸を渡せる。画面用に縮小したデータしかない状態ではない大きく使いたい場面や紙面掲載で、必要なサイズに届かない
色製品の色が実物と大きくずれていない。複数カットで色が揃っている実物と違う色で掲載され、問い合わせや訂正の対応が発生する
文字写真に文字・コピー・価格・透かしが焼き込まれていない広告素材として扱われ、記事中の図版としては使われない
写り込み他社のロゴ、社外秘の書類や画面、個人が特定できる情報が入っていない媒体側が権利・情報管理の確認に入り、時間がかかるほど落ちやすくなる
権利誰が撮った写真か、報道での利用を許諾できる状態かが自社で答えられる問い合わせに即答できず、その間に記事の締切が過ぎる
クレジット表記の要否が決まっており、要る場合は表記文がそのまま使える形になっている媒体が判断できず、確認の手間を避けて写真を使わない
キャプション何が写っているか、いつどこで撮ったかが1〜2文で添えられている写真の意味が伝わらず、記事のどこに置くか判断できない
ファイル名内容が分かる名前になっている(連番のままではない)複数枚の中から目的の写真を探せず、扱いが面倒な素材になる

10項目のうち、撮影より後でも直せるのは大きさ、文字、クレジット、キャプション、ファイル名の5つです。残りの5つは撮影段階で決まります。だからこそ、撮影の前にこの表を撮影者と共有しておく意味があります。

よくあるNG例と、その代替案

プレスリリースに添えられる写真には、繰り返し現れるNGの型があります。以下の表は、実際に相談を受けてきた中で頻度の高いものを、理由と代替案の形にまとめたものです。どれも悪意なく発生します。

よくあるNGなぜ使われないか代替案
コピーと価格を焼き込んだ商品画像記事の素材ではなく広告のバナーに見える。媒体側で修正もできない文字なしの商品写真を本体にし、文字入り版は補助として別に添える
集合写真だけを1枚1人ずつの記事に使えず、顔も小さく、トリミングにも耐えない集合に加えて、個別のポートレートと少人数のカットを撮っておく
開始前の無人の会場出来事ではなく施設の説明にしかならず、記事の絵として弱い人が入った状態の引きを押さえる。開演直前や休憩時間に引きのカットを入れる
スマートフォンの画面をそのまま撮った写真画面の反射や傾き、モアレが出る。画面内の文字が読めない画面のキャプチャ画像を別データとして用意し、端末を持った写真は補助にする
Web用に縮小したデータだけの提供大きく使いたい場面や紙面掲載で、必要なサイズに届かない原寸のデータを渡せるようにし、配信サービスの規定に合わせて縮小版も添える
背景に他社ロゴや取引先名が写ったオフィスカット権利と情報管理の確認が必要になり、確認の手間が掲載を止める撮影前に画角内を片付ける。角度を変えて写り込みを外したカットを併せて撮る
数年前の役員写真を使い回す現在の見た目と違う、向きが片方しかない、元データが残っていないリリースの予定と関係なく、横位置・縦位置・表情違いを定期的に撮り直して保管する
キャプションも撮影者情報もない写真だけの添付何の写真か、誰に確認すればよいかが分からず、問い合わせの手間になる1枚ごとに説明文を付け、クレジット表記の要否と連絡先をまとめて添える
イメージ素材で代用した抽象的な写真自社の話であることが伝わらず、他社の記事と絵が重なる自社で撮った実物・実際の人・実際の場所のカットを用意する

この表で最も根が深いのは、最後の「イメージ素材で代用」です。手元に使える写真がないとき、汎用の素材で埋めるのは自然な判断ですが、記事になったときに自社の固有性がゼロになります。同じ素材を他社も使っている可能性があるという問題もあります。撮影を手配する時間がないという理由で素材に逃げる前に、必要なカットが何枚なのかを数えてみてください。数が少なければ、短い撮影枠で足ります。

撮影の見積りは、内訳つきで無料です

用途・日程・場所をお知らせいただければ、拘束時間と人員の内訳が分かる見積りをお送りします。料金はハーフ(4時間枠)66,000円・フル(8時間枠)132,000円(税込)です。

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権利の整理|メディアが転載できる状態になっているか

プレスリリースの写真では、権利の整理が社内利用の場合より広くなります。自社で使うだけなら自社の判断で済みますが、報道向けに提供する写真は、第三者である媒体が転載することが前提になるからです。ここが整理されていない写真は、媒体の側で確認が入り、確認が長引くほど掲載から外れます。

整理すべきは4点です。写真そのものを自社が使える状態にあるか、第三者へ提供して転載してもらってよい範囲か、写っている人の同意が報道での利用まで含んでいるか、他社の製品や著作物が写っていないか。この4点を、撮影の発注の段階で決めておきます。

1点目の、写真を自社が使える状態かどうかは、撮影の契約内容で決まります。著作権が誰にあるのか、企業としてどの範囲まで使えるのかは、発注の条件で変わるところです。基本の整理は撮影データの著作権は誰のものかに書きました。撮影者に著作権が残る形でも企業が業務で使えることは多いのですが、「どこまで使えるか」の範囲は取り決めによります。

2点目の、第三者への提供と転載が、プレスリリースで最も見落とされる論点です。自社サイトに載せる権利があることと、媒体に提供して媒体のサイトに転載してもらう権利があることは、同じではありません。見積書や契約書に出てくる「買い取り」「二次利用可」といった言葉が実際に何を指しているのかは写真の「買い取り」「二次利用可」の意味を、企業側の言葉で説明するに整理しました。プレスリリースでの利用を予定しているなら、その用途を発注の時点で伝えておくのが早道です。

3点目の、写っている人の同意については、範囲の違いが問題になります。社内報や採用ページに載ることに同意した社員が、報道機関に転載される写真に写ることまで想定しているとは限りません。イベントの来場者や、取引先の担当者が写っている場合はさらに慎重になります。同意書を誰が用意し、どこまでの範囲を書いておくべきかはモデルリリース(肖像権同意書)は誰が用意するのかをご覧ください。

4点目は、他社の製品、ロゴ、キャラクター、美術作品、音楽の実演などが写っている場合です。自社の製品と並べて撮った比較カットや、会場の装飾に第三者の作品が使われている場合が該当します。判断に迷うものが写っているときは、そのカットを使わないという選択が最も早く済みます。差し替え可能なカットを複数用意しておく意味は、ここにもあります。

権利の判断について

この記事では、権利関係の法的な解釈を示すことはできません。著作権や肖像権の扱い、報道目的での利用がどこまで認められるかといった判断は、契約の内容と具体的な状況によって変わります。最終的な判断は、自社の法務部門または顧問弁護士のご確認によってください。実務としては、撮影を発注する段階で「プレスリリースに添えて報道機関へ提供する予定がある」と伝え、その前提で条件を決めておくことが、後の確認を減らす最も確実な方法です。発注書や契約書に書いておく項目は撮影の発注書・契約書に書く項目とテンプレートにまとめてあります。

クレジット表記をどう扱うか

クレジット表記は、要るのか要らないのかを先に決めて、写真と一緒に伝えます。媒体の担当者にとって、判断できない項目が1つ増えるだけで、その写真の扱いが面倒になるからです。

表記が必要な場合は、表記文をそのまま使える形で添えてください。「撮影者名を入れてください」ではなく、「写真提供:株式会社◯◯」「Photo by ◯◯」のように、コピーして貼れる文字列で渡します。表記の位置や書式は媒体ごとに違うので、そこは媒体の判断に任せます。

表記が不要な場合も、その旨を明記しておくほうが親切です。「クレジット表記は不要です」と書いてあるだけで、媒体側の確認が1つ減ります。書いていないと、担当者は「書いていないだけで、本当は要るのではないか」と考える余地が残ります。

データの渡し方|解像度・ファイル名・キャプション・ダウンロード導線

写真の渡し方は、撮影と同じくらい採否に効きます。媒体の担当者が「探す」「開く」「問い合わせる」という作業を挟むほど、その写真は使われにくくなるからです。渡し方で整えるのは、データの大きさと形式、ファイル名、キャプション、そして取りに行ける場所の4つです。

先に注意点を書いておきます。プレスリリース配信サービスを使う場合、アップロードできる画像の枚数、サイズ、形式、容量には、サービスごとの規定があります。この記事ではその数値を断定しません。サービスによって異なり、改定もされるためです。入稿の直前に、利用する配信サービスの最新の規定をご確認ください。以下に書くのは、その規定の中でどう振る舞うかという考え方です。

渡し方の項目具体的にどうするか理由
データの大きさ撮影データの原寸を提供できる状態にしておく。配信サービスへの入稿は、その規定に合わせて縮小版を用意する紙面や大きな表示面に回る可能性がある。縮小したデータしか残っていないと、後から元に戻せない
ファイル形式写真は一般的に扱いやすい形式で渡す。透過が要る素材(ロゴ等)は形式を分ける開けない形式や編集ソフト前提の形式は、それだけで扱われなくなる
ファイル名連番のままにせず、内容が分かる名前にする(会社名・案件名・被写体・向き・連番の順など)複数枚の中から目的の写真を探す手間を減らす。保存後も何の写真か分かる
キャプション1枚ごとに、何が写っているか・いつどこで撮ったかを1〜2文で添える記事のどこに置くかを媒体が判断できる。本文の説明と対応づけられる
クレジット表記要否を明記し、必要ならそのまま貼れる表記文を添える媒体側の確認を減らす。判断できない項目があると写真ごと避けられる
連絡先写真に関する問い合わせ先(担当者名・メール・電話)をリリース内に置く追加カットや高解像度版の依頼が来る経路になる。ここが取材のきっかけになることもある
取りに行ける場所まとめてダウンロードできる場所を用意し、そのリンクをリリースに載せる配信サービス上に載せられる枚数には限りがある。補助カットの受け皿になる
提供条件報道目的での利用可否、加工やトリミングの可否、使用期限の有無を書く媒体が確認なしで使える状態になる。確認の往復がなくなる

報道用素材ページを持っておくという考え方

報道用素材ページとは、自社サイト内に、メディア向けの写真とロゴをまとめて置いておくページのことです。プレスリリースごとに素材を探す状態から抜けるために、常設で用意しておく考え方です。

置いておく内容は決まっています。会社のロゴ(背景ごとに複数パターン)、代表・役員のポートレート(横位置と縦位置)、拠点の外観と内観、主要な製品やサービスの写真、そして提供条件と問い合わせ先。これだけあれば、突発的な取材依頼に対して「写真を探す」時間がなくなります。

このページが効くのは、リリースを出したときだけではありません。他社の記事の中で自社が言及される、業界のまとめ記事に取り上げられる、イベントの登壇者として紹介される。こうした場面では、自社からリリースを出していないので、媒体は自分で素材を探します。そのとき、公式に提供されている素材があるかどうかで、載る写真が変わります。

ページを作る手間を考えると、すぐには着手しにくいかもしれません。ただ、置くべき写真の種類は上に挙げた5つで、しかもそのうち4つは1回の撮影でまとめて押さえられます。役員のポートレート、拠点の外観と内観、製品カット。撮影の機会が1回あれば、素材ページの中身はほぼ揃います。会社全体の写真をどのタイミングで更新するかはコーポレートサイトの写真を撮り直すべきタイミングに整理してあるので、更新の機会に合わせて報道用の素材も揃えると効率的です。

なお、業種によっては、写真と一緒に出す表現そのものに規制がかかる場合があります。医療機関やクリニックのように、広告として扱われる表現に決まりがある分野では、写真の見せ方にも注意が要ります。該当する業種の撮影については医療機関・クリニックの撮影と広告規制をご覧ください。リリースの文面と写真は一体で見られるため、文面の確認だけで済ませずに、写真の側も同じ基準で確認する必要があります。

発表日から逆算して、撮影日を置く

プレスリリースの写真は、撮ってから探すのではなく、発表日から逆算して撮影日を置きます。リリースの原稿は発表日に合わせて進みますが、写真だけが「あるもので済ませる」扱いになりやすいためです。写真を工程に組み込むと、この事故がなくなります。

手配する側として毎年見ているのが、発表日の数日前に「写真がないことに気づいた」というご相談です。リリースの文面は完成していて、画像の欄だけが空いている状態です。この段階だと、撮影者の空きと被写体の予定を同時に合わせる必要があり、選択肢がほとんど残りません。文面を書き始めるのと同じタイミングで、写真の段取りも始めてください。

納期の目安も、逆算に組み込みます。少量(〜数十カット)であれば即日から翌営業日、大量のポートレート(数十名〜)であれば5〜7営業日が目安です。特急納品はオプションとしてお受けしていますが、前提として日程に余裕を持たせるほうが、選べる撮影者も増えます。

STEP

発表日と、リリースの種別を確定する

発表日(配信日)と、リリースが5種別のどれに当たるかを先に決めます。新商品・新サービス、資金調達・人事・役員、新拠点・オープン、イベント・カンファレンス、調査リリース。種別が決まると、必要な写真の主役が決まります。発表日がまだ確定していない場合は、最も早いケースの日付を仮置きしてください。撮影は前倒しできますが、後ろ倒しはできない前提で組みます。

STEP

必要なカットを役割ごとに一覧にする

この記事のカット表を使って、メインカット、向き違い、寄り、引き、人が入ったカット、スケール、単体の7つの役割に、自社のリリース内容を当てはめます。「製品の全体(横)」「代表のポートレート(横・縦)」のように、被写体と向きを書き出す形にしてください。写真から考えるのではなく、リリースの構成と、想定される記事の作りから起こすとずれません。この一覧が、撮影者へ渡す発注内容そのものになります。

STEP

被写体の予定を先に押さえる

人物が入るリリースでは、被写体の予定が最も動かしにくい条件になります。代表や役員、対象の社員が撮影に出られる日を先に押さえてください。製品が主役の場合は、量産前の試作品しかないのか、実物が撮影日に間に合うのかを確認します。会場が主役なら、設営の完了時刻と、人が入る時間帯を確認します。撮影者の空きより先に、被写体の側の制約を固めるのが順番です。

STEP

納期から逆算して、撮影日の締切を決める

発表日から、納品にかかる日数と、社内で写真を確認する日数を引いて、撮影日の締切を出します。納期の目安は、少量(〜数十カット)が即日〜翌営業日、大量のポートレート(数十名〜)が5〜7営業日です。ここに、社内確認と差し替え判断の日数を足してください。写真が上がってから「この背景は出せない」と分かる場合があるので、撮り直しの余地として数日を見ておくと安全です。特急納品はオプションとしてご用意していますが、最初から特急前提で組まないほうが選択肢が広がります。

STEP

撮影前に、権利と写り込みの条件を決める

撮影日が決まったら、権利まわりを先に片付けます。報道機関へ提供する前提であることを撮影者に伝え、その条件で発注します。写る人には、報道での利用まで含めた形で同意を取ります。撮影場所の片付けについても、この段階で担当を決めてください。他社のロゴが入った備品、社外秘の書類、モニターの表示。撮影の直前30分を片付けの時間として確保しておくと、当日の手戻りがなくなります。

STEP

納品後に条件チェックを通し、渡す形に整える

納品されたデータを、この記事の10項目のチェック表で1枚ずつ確認します。向き、余白、大きさ、色、文字、写り込み、権利、クレジット、キャプション、ファイル名。問題がなければ、ファイル名を付け直し、1枚ごとにキャプションを書き、クレジット表記の要否と提供条件を添えます。配信サービスへ入稿する分は、そのサービスの最新の規定に合わせて用意し、載せきれない補助カットはダウンロードできる場所に置いて、リンクをリリース内に記載します。

この6ステップは、1回作れば次のリリースでもそのまま使えます。リリースの種別が変わっても、発表日から逆算するという順番は変わらないためです。年に何度もリリースを出す会社であれば、写真の段取りを型にしておくと、リリースごとの負担が大きく下がります。

リリースが年間で複数回ある場合、撮影も1回ずつ都度発注するより、まとめて設計したほうが費用と手間の両方が下がります。年間の撮影をどう組むかは年間で撮影を発注する企業のコスト最適化パターンに書きました。プレスリリース用の素材は、採用ページや会社案内の素材と重なる部分が多いので、まとめて撮ると1枠に収まりやすくなります。

プレスリリース写真の発注前チェックリスト

ここまでの内容を、撮影を発注する前に確認するチェックリストにまとめます。広報、事業の担当部署、法務のいずれかに聞けば答えが返る項目ばかりです。撮影日を決める前にこの一覧を埋めておくと、当日に判断を求められる場面がほとんどなくなります。

  • リリースの発表日(配信日)と、5種別のどれに当たるかを決めた
  • 写真の主役(モノ・人・場所・場の状況)を1つに絞った
  • 役割ごとのカット一覧(メイン・向き違い・寄り・引き・人・スケール・単体)を作った
  • メインカットを横位置で、余白を残して撮ることを撮影者に伝えた
  • 同じ場面の縦位置も押さえることを撮影内容に入れた
  • 人物が入る場合、視線と表情の幅を残すことを伝えた
  • 写真に文字・コピー・価格・透かしを焼き込まない方針を社内で共有した
  • 撮影場所の片付け(他社ロゴ・書類・モニター表示・私物)の担当と時間を決めた
  • 写る人への同意の取り方を、報道での利用まで含めた範囲で決めた
  • 報道機関へ提供する前提であることを、撮影の発注条件に入れた
  • 他社の製品・ロゴ・著作物が写るカットの扱いを決めた
  • クレジット表記の要否と、必要な場合の表記文を用意した
  • 原寸データの保管場所と、配信サービス入稿用の縮小版の作り方を決めた
  • 利用する配信サービスの最新の画像仕様(枚数・サイズ・形式・容量)を確認した
  • ファイル名の付け方と、1枚ごとのキャプションの担当を決めた
  • 写真に関する問い合わせ先と、補助カットのダウンロード先を用意した
  • 納品から発表日までに、社内確認と差し替え判断の日数を確保した

撮影を外部に発注するときの一般的な確認項目は撮影を外注する前に確認すべきチェックリスト20項目にまとめてあります。上のリストはプレスリリースに固有の項目に絞っているので、撮影の外注自体が初めてであれば、両方を通すと抜けが減ります。

このチェックリストで埋まらない欄が残っていても、その状態のままご相談いただいて構いません。リリースの発表日、種別(新商品・資金調達・新拠点・イベント・調査のどれか)、被写体が人か物か場所か、写真を使う予定の場所(配信サービス・自社サイト・報道用素材ページなど)をお知らせいただければ、必要なカットの一覧と撮影枠、いつまでに撮影日を決めるべきかを書き出してお返しします。発表日まで日数がない場合は、その日程で間に合うかどうかを先にお答えします。

プレスリリース用の写真は、他の用途と一緒に撮ると無駄が出ない

プレスリリース用に撮る写真は、他の用途とほとんど重なります。役員のポートレート、拠点の外観と内観、製品カット、働く様子。これらは会社案内、採用ページ、開示物、営業資料でも使うものなので、リリースのためだけに撮ると重複します。

撮影の料金が拘束時間で決まる仕組みである以上、同じ日にまとめて撮るほど1枠に収まりやすくなります。役員のポートレートを撮る日に、執務の様子とオフィスの内観も押さえる。製品撮影の日に、白背景の単体カットと使用シーンの両方を撮る。役割が違うだけで、被写体も場所も同じだからです。

開示物に載せる写真は、掲載期間が長く差し替えにくいという別の制約を持ちます。プレスリリース用のカットをそのまま統合報告書や会社案内へ回す予定があるなら、その制約を撮影の段階で織り込んでおくほうが安全です。開示物の側から出てくる条件はIR・決算資料に使う写真の考え方に整理しました。リリースと開示物では、同じ写真でも求められる寿命が違います。

採用の文脈でも同じことが言えます。プレスリリースで会社が取り上げられた記事は、求職者が会社を調べるときに読まれます。そのとき記事に載っている写真は、採用ページの写真と同じ働きをします。採用ページの写真が応募にどう効くのかは採用サイトの写真で、応募数は本当に変わるのかに書きました。リリース用と採用用を別々に撮る理由は、実はあまりありません。

日本プロカメラマン手配の場合|プレスリリース用の撮影をどう組むか

日本プロカメラマン手配は、企業専門のカメラマン手配サービスです。運営は株式会社ファーストブレイク(横浜市中区相生町3-60 泰生ビル308)で、私(代表・宮崎大地)は元カメラマンです。2012年の創業以来、300社を超える企業の撮影に携わってきました。プレスリリース用の撮影では、人物・プロフィール撮影、商品・EC撮影、オフィス・施設・職場風景撮影、企業イベント撮影のいずれか、または複数を組み合わせて承っています。

ご相談をいただいたら、まずリリースの種別と発表日を伺います。そこから必要なカットの一覧を組み、撮影枠と日程をお出しします。この記事で書いた条件(横位置と余白、向き違い、文字の焼き込みなし、写り込みの整理)は、プレスリリースに使うと分かっていれば撮影者と最初に共有できます。用途が共有されないまま撮ると、後から足りないカットが出てくるので、発注の段階でお伝えいただくのがいちばん確実です。

カメラマンは全国厳選30名程度の登録者から、撮影の内容に合う人を目利きしてアサインします。「探すだけ」のマッチングとの違いはここで、技術・機材・服装・態度・代替のリスクまで見た上で選びます。打ち合わせ、撮影スロットの作成、当日のディレクション、納品までは運営会社が一貫して担当するので、発注側が撮影者と個別に段取りを詰める必要はありません。手配会社を通す場合の費用構造はエージェント経由の発注は「中抜き」なのか、正面から答えるに書いています。

基本料金は時間単位です。ハーフ(半日・4時間枠)が60,000円+税=66,000円、フル(1日・8時間枠)が120,000円+税=132,000円。ハーフの4時間枠はセッティング約30分+撮影約3時間+撤収約30分、フルの8時間枠はセッティング約30分+撮影約7時間+撤収約30分という内訳です。拘束時間はカメラマンの現地到着から撤収完了までで計測し、移動時間は課金しません。撮影の合間の待機時間は拘束に含みます。端数は30分単位で切り上げます。延長は30分ごと(切り上げ)で7,800円+税=8,580円ですが、当日の延長はカメラマンのスケジュールによりお受けできない場合があります。

プレスリリース用の撮影がどの枠になるかは、被写体の数と撮影場所の数で決まります。判断の目安を表にしました。人数ではなく拘束時間で決まる料金体系なので、同じ日にまとめて撮るほど1枠に収まりやすくなります。

撮る内容枠の目安前提になる条件
代表・役員1〜2名のポートレート(横位置・縦位置・表情違い)のみハーフ(半日・4時間枠)66,000円税込撮影場所と背景を事前に決めること。被写体が時間どおりに入れること
ポートレート+執務の様子+オフィスの内観(同一拠点で完結)フル(1日・8時間枠)132,000円税込撮影ルートと撮影箇所を事前に決めること。片付けと立ち会いの担当を決めること
製品の単体カット+使用シーン(持ち込み可能な商材)ハーフまたはフル(カット数と組み替えの回数で決まる)撮影当日に実物が揃うこと。色の基準になる見本があること
新拠点・店舗の外観と内観+働く人のカットフル(1日・8時間枠)132,000円税込外観で狙いたい時間帯があれば枠の割り付けに反映する。鍵と照明の操作ができる人が同行すること
イベント・カンファレンスの記録とリリース用カット開催時間に合わせて枠を取る進行台本をもとに撮影スロットを作成する。スロットの作成は運営会社が担当します
ポートレート対象が数十名規模フルの枠で最大40〜50名が目安(1時間あたり6〜8名で保守計算)進行担当者の配置と、事前の撮影スロット作成が適用条件
複数拠点をまわる/複数日にわたる拠点ごと・日ごとに枠を取る連続する日程での複数日発注は合計から一律10%オフ。日程が離れた飛び地の発注は対象外
白い背景で製品やパッケージの単体カットが要る白ホリスタジオ(カメラマン所有)1時間22,000円税込撮影対象を持ち込めること。ロケスタジオを使う場合は外部レンタル費を実費でお通しする

基本料金には、標準機材(カメラ・レンズ・簡易照明)、商用利用権、事前の撮影スロット作成、当日のディレクション、レタッチ、データ納品までが含まれます。交通費や外部レンタルのスタジオ代といった諸経費は実費でお通しし、運営会社の上乗せはありません。見積りの段階で総額をお出しするので、撮影後に別途の請求が出ることはありません。追加人員が必要な場合は、進行アシスタントが+30,000円+税=33,000円、独立して同格に撮る2カメが+120,000円+税=132,000円です。ヘアメイクやスタイリストの手配は別途お見積りします。

納品した写真の商用利用権は基本料金に含みます。自社サイト、会社案内、採用ページ、社内報、印刷物、プレスリリースといった企業の業務用途であれば、追加料金なしでお使いいただけます。ただしプレスリリースでは、報道機関という第三者が転載することが前提になります。報道向けに提供する予定がある場合は、その旨を発注の段階でお知らせください。条件を整理したうえで進められます。

納期の目安は、少量(〜数十カット)が即日〜翌営業日、大量のポートレート(数十名〜)が5〜7営業日です。特急納品はオプションでお受けします。発表日が近い場合は、その日程で間に合うかどうかを最初にお答えしますので、日程が厳しい状態でもご相談ください。撮影費用を社内で説明する材料が要る場合は社内の稟議を通すための「撮影費用」の説明の仕方をご覧ください。ご相談は見積りフォーム(https://photo-jellish.jp/business/contact/)またはメール(contact@firstbreak.jp)でお受けしています。お電話は045-232-4837(土日祝を除く9:00〜17:00)です。

まとめ|プレスリリースの写真は、撮る前に条件を決める

プレスリリースに載る写真の条件は、編集部の都合から逆算すると決まります。記事の型に合わせて切れること、載せられる大きさで届くこと、権利の所在とクレジットの要否が分かること、文字を乗せる余白があること、記事の長さに耐えるだけの枚数があること。写真の出来ではなく、この条件の充足が採否を分けます。

用意するのはメインカット1枚ではなく、役割の違うカットのセットです。メイン、向き違い、寄り、引き、人が入ったカット、スケールが分かるカット、単体。同じ被写体を向きと距離で変えるだけなので、撮影時間が何倍にもなるわけではありません。そして横位置と余白、文字の焼き込みなし、視線と表情の幅、背景の整理という4つは、撮影が終わってからでは直せません。

段取りとしては、発表日から逆算して撮影日を置きます。リリースの文面を書き始めるのと同じタイミングで、写真の工程も動かしてください。配信サービスの画像仕様は入稿の直前に最新の規定を確認し、そこに載せきれない補助カットはダウンロードできる場所に置いてリンクを添える。この形にしておけば、リリースのたびに素材を探す状態から抜けられます。

この記事の次に読むと、準備が一段進みます

リリースの発表日が見えているなら、写真の段取りだけでもご相談ください。発表日、リリースの種別、被写体(人・物・場所のどれか)、撮影できる場所と日程の幅をお知らせいただければ、必要なカットの一覧、撮影枠と総額、連日割の適用可否、そして納期から逆算した撮影日の締切を書き出してお送りします。発表日まで日数がない場合も、その日程で間に合うかどうかを先にお答えしますので、間に合わないと判断する前にお知らせください。

よくある質問

プレスリリースの写真は、スマートフォンで撮ったものではだめですか

機材の優劣ではなく、メディアが使える条件を満たしているかで判断してください。条件とは、記事の型に合わせて切れる余白があること、大きく使える元データがあること、色が実物とずれていないこと、背景に他社ロゴや社外秘の情報が写っていないこと、権利の所在を自社で答えられることです。この条件を満たしていれば、撮影に使った機材が何であるかは問われません。ただし実務では、余白を残した横位置と縦位置の両方を揃える、色を実物に合わせる、背景を整理するといった作業を現場で同時に成立させる必要があるため、条件を満たしにくくなるのが実情です。手元の写真が条件を満たしているかどうかは、この記事のチェック表で1枚ずつ確認できます。

プレスリリースに載せる写真は何枚くらい用意すればよいですか

枚数ではなく、役割の数で考えてください。メインカット、その向き違い、寄り、引き、人が入ったカット、スケールが分かるカット、単体・切り抜き用の7つの役割を埋めると、記事の長さにも媒体ごとの型にも対応できます。似た構図の写真を何十枚も渡しても、編集部にとっては1枚と変わりません。役割の異なるカットが5枚あるほうが使われます。なお、配信サービスにアップロードできる枚数には規定があり、サービスごとに異なります。載せきれない補助カットは、ダウンロードできる場所を用意してリリース内にリンクを記載するのが実務的です。

画像の推奨サイズやファイル形式は、どこを見て決めればよいですか

利用するプレスリリース配信サービスの最新の規定をご確認ください。画像の枚数、サイズ、形式、容量の上限はサービスによって異なり、改定もされるため、この記事では数値を断定しません。そのうえで、どのサービスを使う場合にも共通する考え方があります。撮影データの原寸を自社で保管しておき、入稿にはその規定に合わせた縮小版を使うことです。最初から縮小したデータしか残っていないと、紙面掲載や大きな表示面に回ったときに元へ戻せません。原寸を保管し、用途ごとに書き出す形にしておくと、規定が変わっても対応できます。

社内報や採用ページ用に撮った写真を、そのままプレスリリースに使えますか

使えるかどうかは、撮影時の取り決めと、写っている人の同意の範囲によります。自社サイトに載せる権利があることと、報道機関へ提供して媒体のサイトに転載してもらう権利があることは同じではありません。社内報への掲載に同意した社員が、報道での転載まで想定しているとも限りません。使い回す前に、撮影の契約内容と同意の範囲を確認してください。最終的な判断は、自社の法務部門または顧問弁護士のご確認によります。今後の撮影では、発注の段階で「プレスリリースに添えて報道機関へ提供する予定がある」と伝えておくと、この確認が不要になります。

発表日まで1週間しかありません。今から撮影は間に合いますか

内容によります。まず日程をお知らせいただければ、間に合うかどうかを先にお答えします。判断材料は、被写体が撮影に出られる日があるか、撮影場所が押さえられるか、納品までの日数が確保できるかの3点です。納期の目安は、少量(〜数十カット)が即日から翌営業日、大量のポートレート(数十名〜)が5〜7営業日で、特急納品はオプションとしてご用意しています。日数が足りない場合でも、メインカット1枚と補助カット数枚に絞れば、短い撮影枠で成立することがあります。間に合わないと判断する前に、発表日と必要なカットをお知らせください。

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