結論から先に書きます。手数料は乗っています。私たちの見積書の金額には、カメラマンにお支払いする分のほかに、日本プロカメラマン手配を運営する当社が受け取る分が含まれています。そのうえでお願いしたいのは、乗っているかどうかではなく、その分で御社の担当者の仕事が何工程減るかで比べていただくことです。
結論|手数料は乗っています。判断すべきは、その分どれだけ手間が減るか
MIDDLEMAN MARGIN, ANSWERED

「間に会社が入るぶん、手数料が乗っているだけではないのか」。この質問は、企業のご担当者から実際にいただきます。稟議書を書く側からすれば当然の疑問で、聞かないほうが不自然です。だからここでごまかす気はありません。乗っています。カメラマンに直接お支払いする金額と、御社にご請求する金額は同じではありません。
そのうえで、判断の軸を一つずらしていただきたいと思っています。手配会社を使うかどうかは、「手数料が乗るか乗らないか」で決める問題ではありません。決めるべきなのは、直接発注に切り替えたときに御社側へ戻ってくる仕事の量と、その仕事を担当者が引き受けたときにかかる時間です。手数料は、その時間を買い戻すための金額だと考えています。
この記事では、その比較を読者が自分でできる形にします。直接発注したときに発注企業側で発生する工程を9つに分解して並べ、それぞれの工程で「誰が何を判断しなければならないか」を書きます。そのうえで、御社の人件費単価を当てはめて計算していただく表を置きます。金額の答えはこちらでは出しません。人件費の単価は会社ごとに違い、当メディアはその統計を持っていないからです。
もう少し踏み込むと、この質問が難しいのは、比べている2つの数字の粒度が違うからです。手配会社の見積書には金額が1行で書いてあります。一方、直接発注に切り替えたときに増える社内の作業は、どこにも金額として書かれません。担当者の勤務時間の中に溶けるからです。片方だけが数字になっている状態で並べれば、数字があるほうが高く見えるのは当たり前です。この記事は、見えていないほうを数字にする作業をしています。
あわせて、手配会社を使わないほうがよい場合も書きます。撮影の発注は、条件によっては直接お願いしたほうが確実に早くて安くなります。それを書かずに自社の利点だけを並べても、稟議を通す材料にはなりません。私は元カメラマンとして企業から直接ご依頼をいただいていた時期があるので、直接発注がうまく回る条件も、回らなくなる条件も、両側から見てきたつもりです。
なお、この記事は「撮影会社・個人カメラマン・エージェントのどれを選ぶか」という三択の比較記事ではありません。三者の違いそのものは撮影会社と個人カメラマンとエージェント、どう違うのかで扱っています。この記事が答えるのは、「エージェントを使うと中間マージンを取られるだけではないか」という一点だけです。
「中抜き」という言葉が指している2つのこと
「中抜き」という言葉は、現在2通りの意味で使われています。ひとつは「中間業者を通さずに直接取引すること」、もうひとつは「間に入った業者が中間マージンを取ること」です。撮影の発注担当者が「これって中抜きですよね」と言うとき、ほぼ後者の意味で使われています。この記事が答えるのも後者です。
| 使われ方 | 言いたいこと | この記事での扱い |
|---|---|---|
| ①中間業者を通さずに直接取引すること | 流通の途中にいる会社を飛ばして、作る側と使う側が直接つながる | この記事では扱いません(発注の是非の話ではないため) |
| ②間に入った業者が中間マージンを取ること | 自分たちが払った金額の一部が、実際に働いた人ではなく仲介した会社に渡っている | この記事が答えるのはこちらです |
どちらが正しい語法なのかという議論には立ち入りません。言葉の由来や国語的な正誤を私が断定する立場にはありませんし、それを決めても御社の稟議は1ミリも進まないからです。大事なのは、質問している人が何を心配しているのかを取り違えないことです。
②の意味で「中抜き」と言われるとき、その裏にある心配は、だいたい次の3つに整理できます。「同じ写真がもっと安く手に入るのではないか」「間に入った会社は実は何もしていないのではないか」「カメラマンの取り分が減って、質が落ちるのではないか」。この記事は、この3つに順番に答えていきます。
先に1点だけお断りしておきます。私は「手数料が乗るのはおかしい」という感覚を、間違った感覚だとは思っていません。むしろ、発注担当者としては健全です。支払っている金額の中身を確認しようとする人がいる会社のほうが、撮影の発注も上手です。だから、この質問をされたときに気分を害する手配会社があるとしたら、そちらのほうが問題だと考えています。
直接発注したとき、発注企業側で誰が何をやることになるのか
直接発注に切り替えると、手配会社がやっていた工程がそのまま発注企業側に戻ってきます。戻ってくるのは9工程です。カメラマンを探す、絞る、見積りを取る、社内審査を通す、契約とNDAを結ぶ、当日の指示出しをする、納品データを確認する、請求と支払を処理する、事故が起きたら再手配する。この9つは、誰かがやらないと撮影が終わりません。
下の表では、各工程に「所要時間の目安」を書いていません。時間は会社の体制と撮影の規模で大きく変わるため、こちらで断定すると当てにならない数字になります。代わりに、その工程で「何を判断しなければならないか」を書きました。時間がかかるのは作業そのものより、判断が確定するまでの往復だからです。
| 工程 | その工程で判断しなければならないこと | 判断がずれたときに起きること |
|---|---|---|
| 1. 探す | どの職種のカメラマンを探すのか。人物と物撮りとイベントでは、得意分野も機材も別だと分かったうえで検索語を決める | ジャンル違いのカメラマンばかり候補に並び、絞り込みの前段でやり直しになる |
| 2. ポートフォリオを見て絞る | 並んでいる写真が、その人の実力なのか、現場が良かった結果なのかを見分ける。自社の撮影条件(会議室・工場・屋外)で同じ絵が出るかを判断する | 作品は良いのに自社の現場では再現できず、当日になって想定と違う写真が上がる |
| 3. 条件を伝えて見積りを取る | 撮影の目的・カット数・拘束時間・使う媒体・レタッチの範囲を、抜けなく言語化する。ここが揃っていない見積りは比較できない | 各社の見積りが同じ条件で並ばず、金額の高低だけで判断してしまう |
| 4. 社内の購買・法務審査を通す | 個人事業主との取引が自社の購買規程で認められるか。反社会的勢力の確認や与信の手続きをどう満たすかを判断する | 撮影日が決まってから審査で止まり、日程を組み直すことになる |
| 5. 契約とNDAを結ぶ | 著作権の扱い、社外秘の情報に触れる範囲、キャンセル時の負担をどう定めるか。相手が雛形を持っていない場合は自社で用意するかを判断する | 権利や守秘の条件が曖昧なまま撮影が進み、公開直前に使ってよいかで止まる |
| 6. 当日の指示出し | 何をどう撮ってほしいかを、その場で言語化して伝える。撮影の順番と時間配分を決め、被写体になる社員を呼び出す段取りを組む | カメラマンが指示待ちになり、拘束時間の中で撮れるカット数が減る |
| 7. 納品データの確認と差し戻し | 上がってきた写真が使えるかどうかを、媒体ごとの基準で判断する。直してほしい点を、感覚語ではなく指示に変換する | 「なんとなく違う」で往復が続き、公開日に間に合わなくなる |
| 8. 請求書と支払処理 | 適格請求書の要件を満たしているか、源泉徴収の要否をどう扱うかを経理と詰める。支払サイトと振込先の登録を通す | 経理から差し戻され、担当者が請求書の書き直しをカメラマンに依頼することになる |
| 9. 当日キャンセル・品質不足時の再手配 | 代わりのカメラマンを何時間以内に確保できるか。撮り直しにするか、その場でリカバリーするかを即断する | 撮影が飛び、関係者の再招集や会場費が二重にかかる |
2番のポートフォリオを見て絞る工程は、時間の読めなさで言えばいちばん厄介です。見るだけなら30分で終わりますが、「この写真はこの人の実力なのか、それとも現場の条件が良かっただけなのか」を見分けるところで判断が止まります。広い窓のあるおしゃれなオフィスで撮られた写真と、蛍光灯の会議室で撮られた写真では、同じカメラマンでも結果がまったく違います。自社の現場に近い条件の作例が並んでいなければ、その人が自社で同じ絵を出せるかは分かりません。
7番の納品データの確認も、想像より重い工程です。上がってきた写真を見て「なんとなく違う」と感じることは誰でもできますが、それを「肌の色が黄色に寄っているので、もう少しニュートラルに」という指示に変換するには、写真の言葉が要ります。ここが感覚語のまま往復すると、直しても直しても収束しません。差し戻しの回数は、担当者の写真の語彙の量でだいたい決まります。
この9工程のうち、多くの企業でいちばん重いのは6番の当日の指示出しです。作業時間としては撮影の数時間ですが、その数時間のあいだ、担当者は自分の本来の仕事から離れます。しかも「何をどう撮ってほしいか」をその場で言語化するのは、経験がないと難しい仕事です。ここが曖昧なまま進むと、7番の差し戻しが増えます。
4番と8番は、担当者ひとりでは終わらない工程です。購買・法務・経理という別部署の時間を使います。社内の稟議や購買手続きをどう組み立てるかは社内の稟議を通すための「撮影費用」の説明の仕方で詳しく書きました。3番の見積り取得で条件を揃える具体的な項目は撮影を外注する前に確認すべきチェックリスト20項目にまとめています。
その工数を自社の金額に置き換えてみる
9工程を金額に換算する式は単純です。工程ごとにかかった時間を出して、御社の人件費単価を掛けるだけです。ここで大事なのは、時給ではなく人件費単価を使うことです。給与だけでなく、社会保険料や間接費まで含めた1時間あたりのコストが、社内の経理部門なら把握しているはずです。
下の表は、そのまま社内資料に貼って使えるように空欄にしてあります。数字はこちらでは入れません。当メディアは企業の人件費単価に関する統計を持っておらず、平均値を出すと、それらしいだけの根拠のない数字になるからです。御社の実額を入れてください。
| 工程 | 御社で担当する人(記入) | 想定時間(記入) | 人件費単価×時間(記入) |
|---|---|---|---|
| 1. 探す | |||
| 2. ポートフォリオを見て絞る | |||
| 3. 条件を伝えて見積りを取る | |||
| 4. 購買・法務審査を通す | |||
| 5. 契約とNDAを結ぶ | |||
| 6. 当日の指示出し | |||
| 7. 納品データの確認と差し戻し | |||
| 8. 請求書と支払処理 | |||
| 9. 事故時の再手配 | |||
| 合計 | — |
埋めてみると、たいてい2つのことが分かります。ひとつは、時間がかかっているのは撮影当日ではなく前後の工程だということ。もうひとつは、その時間が担当者ひとりの残業として吸収されていて、撮影費用のどこにも計上されていないということです。稟議書に載っている金額は撮影費だけですが、実際に会社が払っているのはそれだけではありません。
この表について、はっきりさせておきたいこと
この表を出す目的は、「手配会社を使えば◯時間削減できる」という数字を作ることではありません。そういう数字は、条件を選べばいくらでも大きく見せられてしまいます。当メディアは削減時間の統計を取っていないので、効果の数値は書きません。御社が自社の実額で計算して、そのうえで判断していただくための表です。計算した結果、直接発注のほうが安いという答えになるなら、それが御社にとっての正解です。
もうひとつ、金額に換算しづらいけれど無視できないものがあります。9番の再手配です。この工程は、起きなければ0時間ですが、起きたときには他の8工程を全部足したより重くなります。担当者が社内で説明に回る時間、関係者を再招集する連絡、会場や機材の再手配。この不確実性をどう見積もるかは、金額の計算とは別に置いて考えていただくのがよいと思います。
手配会社が受け取っている分は、何の対価なのか
手配会社が受け取っている分の対価は、5つの作業です。用途に合うカメラマンの目利き、当日のディレクション、代替体制の確保、契約と請求の窓口の一本化、レタッチ基準の統一。「安心」「品質」といった抽象語では答えになっていないので、それぞれ具体的に何をしているかを書きます。
| 受け取っている分の対価 | 具体的にやっていること |
|---|---|
| 用途に合うカメラマンの目利き | ポートフォリオの写真が「実力なのか現場が良かった結果なのか」を、機材・光の作り方・撮影条件から判断する。人物・商品・イベントのどれが得意かを分けて把握し、御社の撮影条件で同じ結果が出る人を選ぶ |
| 当日のディレクション | 事前に撮影スロット(時間割)を作り、誰を何時に呼ぶか、どのカットをどの順で撮るかを設計する。当日は運営会社側が進行を持ち、カメラマンへの指示出しを担当者に代わって行う |
| 代替体制 | 当日にカメラマンが動けなくなったときに、代わりを立てる。業務委託契約に代替体制への協力条項を入れ、登録カメラマン側にもその前提で入っていただいている |
| 契約と請求の窓口の一本化 | 業務委託契約とNDAの締結、適格請求書の発行、支払処理の窓口を運営会社(株式会社ファーストブレイク)が一本で受ける。御社の取引先は法人1社になり、購買・法務・経理の手続きが撮影ごとに増えない |
| レタッチ基準の統一 | 肌の質感・色温度・トリミングなどのレタッチ基準を定めて運用する。カメラマンが替わっても、採用サイトや社員紹介ページに並んだときの見え方が揃う |
1つ目の目利きについては、当社がカメラマンを審査するときの4つの基準をカメラマンを審査する4つの基準|人柄・機材・実績・ポートフォリオで公開しています。何を見て選んでいるのかを開示しないまま「目利きしています」と言っても、それは対価の説明になりません。
3つ目の代替体制は、平常時にはまったく価値が見えない項目です。10回の撮影で1回も発動しなければ、御社から見れば「何もしていない」ように見えます。実際に発動した日に何が起きるかは、【事例】急病のカメラマンを2時間で差し替えた日のことに書きました。保険料に近い性質のものだとお考えください。
私がカメラを置いて手配側に回ったのは、この5つが誰の担当にもなっていない現場を何度も見たからです。その経緯はなぜ私は、カメラを置いてエージェントになったのかに書いています。カメラマンとして直接ご依頼をいただいていた頃、企業のご担当者が撮影そのものではなく、その前後の段取りに時間を使っているのを、現場で何度も見てきました。当日、私の隣に立って進行表を持ち、社員を呼び出し、休憩のタイミングを計り、終わった後に写真の選定までしている。撮影を頼んだつもりが、撮影の運営まで背負っている状態です。
逆に、手配会社を使わないほうがよい場合
手配会社を使わないほうがよい場合は、はっきりあります。社内に撮影のディレクションができる人がいる場合、すでに信頼できるカメラマンと長年組めている場合、そして年1回の撮影で社内工数を割いてでも直接の関係を作りたい場合です。この3つのどれかに当てはまるなら、直接お願いしたほうが早いです。
1つ目の「社内にディレクションできる人がいる」は、広報部や販促部に元編集者・元制作会社出身の方がいる企業でよくあります。撮影の目的から逆算してカット割りを作れて、当日に「もう少し引きで」「顎を引いて」を言える人が社内にいるなら、前の章で書いた5つの対価のうち2つは社内で足りています。そこに手数料を払う理由は薄くなります。
2つ目の「すでに信頼できるカメラマンと長年の取引がある」は、いちばん強い条件です。何度も撮ってもらっていれば、目利きは済んでいます。指示出しの言葉も通じています。レタッチの好みも共有できています。この状態を壊してまで手配会社に切り替える理由はありません。私が同じ立場でも、そのまま続けます。
3つ目の「年1回の撮影で、社内工数を割いてでも直接の関係を作りたい」も合理的です。年1回なら、9工程を担当者が引き受けても年間の負担は限定的です。そのうえで、直接やり取りしたほうがカメラマン側にも自社の事業が伝わり、2年目以降の精度が上がります。長い目で見て自社に撮影のノウハウを溜めたいなら、遠回りのようでこちらのほうが速いことがあります。
逆に、この3つのどれにも当てはまらないのに直接発注を続けている場合は、一度立ち止まって計算していただく価値があります。よくあるのは、最初の1回だけディレクションできる人がいて直接発注で成功し、その人が異動したあとも同じやり方を続けている、というケースです。仕組みが人に紐づいていたことに、当日になって気づきます。手配会社に切り替えるかどうかは別として、9工程を今は誰が持っているのかを一度書き出しておくのは、どちらを選ぶにしても効きます。
一方で、注意していただきたいのは「知り合いだから安心」と「信頼できる取引先がある」を混同しないことです。この2つは別物で、前者は条件を詰めにくいぶん、あとで無理が出やすくなります。その線引きは「知り合いのカメラマン」に頼むリスクを冷静に整理するで書きました。長年の取引があるかどうかは、名刺の枚数ではなく、条件を書面で確認し合える関係かどうかで判断してください。
「カメラマンの取り分が減るのでは」という疑問について
「間に会社が入ると、カメラマンの取り分が減って質が落ちるのではないか」。この疑問には、正直に答えると2つの部分があります。報酬の条件についてはお答えできません。個別の取り決めで、公開していないからです。ただし、カメラマン側が何を手放し、何を受け取っているかという構図は説明できます。
まず構図から。当社に登録しているカメラマンは業務委託です。そのうえで、営業と請求と条件交渉は運営会社が持ちます。クライアントとの窓口も、品質管理も、運営会社が行います。カメラマンから見れば、自分で営業先を探して、条件を交渉して、請求書を出して、入金を確認するという一連の仕事が手元から離れます。その代わりに、案件ごとの単価は自分で交渉した場合と同じにはなりません。この交換が成立していると考えているかどうかは、個々のカメラマンが判断して登録しています。
報酬額・料率・取り分の割合をここに書かないのは、隠しているからではなく、条件が案件と個人によって違い、一律の数字として出すと誤解を生むからです。当社は「うちは業界最低の手数料です」といった言い方もしません。比較できる公開データがないところで、そういう主張をしても意味がないと考えています。
カメラマンとの取引条件について、書けることと書けないこと
書けること:登録カメラマンは業務委託であること。営業・請求・条件交渉を運営会社が持つこと。クライアントとの窓口と品質管理を運営会社が行うこと。業務委託契約とNDAの標準雛形があり、著作権譲渡・直接取引禁止・代替体制協力の条項を含むこと。
書けないこと:報酬額、料率、御社のお支払いに対する取り分の割合。これらは個別の取り決めであり、公開していません。契約条件の法的な妥当性については、御社の法務部門または顧問弁護士にご確認ください。
もうひとつ付け加えます。カメラマンの取り分と写真の質は、そのまま比例しません。同じカメラマンでも、事前に撮影スロットが組まれていて、被写体が時間どおりに来て、指示が明確な現場では、いい写真が上がります。逆に、段取りが崩れた現場では、報酬がいくらでも撮れるものは限られます。手配会社の仕事のかなりの部分は、カメラマンが実力を出せる状態を当日までに作ることです。
手数料が見えないことへの不満に、どう答えるか
「手数料が乗っているのは分かった。ではいくら乗っているのか」。この不満への当社の答えは、手数料の内訳を開示することではなく、御社が支払う総額を見積りの段階で確定させることです。内訳の割合を知りたい理由は、たいてい「あとから増えるのが怖い」だからです。その心配のほうを、運用で消しにいきます。
具体的には4つです。見積りの段階で総額を明示すること。諸経費(交通費・スタジオ代など)は実費でお通しして運営会社の上乗せをしないこと。撮影後に「別途◯◯円」が発生しないこと。料金の単位を人数ではなく時間にしていること。この4つが守られていれば、稟議に出した金額と請求書の金額が一致します。
料金の単位を時間にしているのは、御社が事前に総額を計算できるようにするためです。人数課金だと、当日に撮影対象が1人増えるたびに金額が動きます。時間単位なら、4時間枠なのか8時間枠なのかが決まった時点で基本料金が固定されます。相場の内訳をもっと分解して見たい場合は企業撮影の相場を、内訳まで全部公開するをご覧ください。
「見積りの段階で総額を明示する」を実際にやるには、こちら側が先に聞く項目を持っている必要があります。撮影の目的、当日の進行、被写体の人数、写真を使う媒体、公開の期日。これを聞かずに枠だけ売ると、当日に「もう1時間延ばしたい」「この人も撮っておきたい」が出て、結局あとから金額が動きます。総額が動かない見積りは、見積書の書き方ではなく、見積り前のヒアリングの精度で決まります。
正直に書くと、手数料の割合そのものを開示している手配会社を、私は他に知りません。ただ、それを理由に「開示しないのが業界の常識です」と言うつもりもありません。当社が開示していないのは、案件ごとに条件が違うからです。そのうえで、御社にとって意味があるのは割合ではなく総額のはずだ、という考え方で運用しています。ここに納得いただけない場合は、直接発注と比べて判断していただくのが正しいと思います。
日本プロカメラマン手配の場合|料金に何が含まれているか
日本プロカメラマン手配の基本料金は時間単位で、ハーフ(半日・4時間枠)が60,000円+税=66,000円、フル(1日・8時間枠)が120,000円+税=132,000円です。この金額に、カメラマンの拘束、標準機材(カメラ・レンズ・簡易照明)、商用利用権、事前の撮影スロット作成、当日のディレクション、レタッチ、納品までが含まれます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 基本料金に含まれるもの | カメラマンの拘束(現地到着〜撤収完了で計測。移動時間は課金しません)/標準機材(カメラ・レンズ・簡易照明)/商用利用権/事前の撮影スロット作成/当日のディレクション/レタッチ/データ納品 |
| 実費でお通しするもの | 交通費、外部レンタルのロケスタジオ代など。運営会社の上乗せはありません。事前見積りで金額を明示し、請求書に明細を添えます |
| 別途になるもの(事前に見積り) | 延長は30分ごと(切り上げ)7,800円+税=8,580円/進行アシスタント+33,000円(税込)/2カメ+132,000円(税込)/サブカメ+88,000〜110,000円(税込)/白ホリスタジオ(カメラマン所有)1時間22,000円(税込)/ヘアメイク・スタイリスト手配/特急納品 |
| 撮影後に発生しないもの | 使用範囲の追加による二次利用料、レタッチの追加請求など、見積りに書かれていない後出しの費用 |
| 割引 | 連日割:連続する日程での複数日発注は合計から一律10%オフ(日程が離れた複数回は対象外) |
納期の目安は、少量(〜数十カット)が即日〜翌営業日、大量ポートレート(数十名〜)が5〜7営業日です。特急納品はオプションでお受けします。人数の目安は、ポートレート撮影でハーフが最大20名、フルが最大40〜50名です。これは進行担当者の配置と事前の撮影スロット作成を前提にした数字で、段取りがない状態では届きません。
取引の窓口は株式会社ファーストブレイク(横浜市中区相生町3-60 泰生ビル308)の1社になります。適格請求書の発行に対応しており、インボイス登録番号はT2020001106718です。御社の購買・法務・経理から見れば、撮影のたびに新しい取引先を審査する必要がなくなります。
どちらを選ぶかの判断材料
判断は、次の2つのチェックリストで分かれます。上の直接発注のリストに3つ以上当てはまるなら、直接お願いしたほうが早いです。下の手配会社のリストに3つ以上当てはまるなら、手数料を払って工程を外に出す価値があります。両方に当てはまる場合は、次の1回だけ試して比べていただくのが確実です。
直接発注のほうが向いている場合
- 社内に撮影のディレクションができる人がいて、当日の指示出しを任せられる
- すでに信頼できるカメラマンがいて、条件を書面で確認し合える関係ができている
- 撮影の頻度が年1回程度で、9工程を担当者が引き受けても年間の負担が収まる
- 個人事業主との直接取引が、自社の購買規程・与信の手続きで問題なく通る
- 撮影日が動かせる、あるいは撮り直しができる日程の余裕がある
- 長い目で見て、自社に撮影のノウハウを溜めたい方針がある
手配会社を使ったほうが向いている場合
- 撮影の当日、担当者が進行に張り付けない(自分も登壇する、来賓対応がある等)
- 撮影日が動かせない(式典・周年・決算発表・採用サイトの公開日が決まっている)
- 撮影の種類が複数ある(人物・商品・イベント)ため、その都度カメラマンを探し直している
- 購買・法務・経理の手続きが重く、取引先を増やすたびに社内の時間を使う
- 複数拠点・複数年で撮る予定があり、写真の見え方を揃えたい
- 前回、写真の仕上がりについて社内で説明を求められた経験がある
上のリストの4つ目、「個人事業主との直接取引が自社の購買規程で通る」は、意外と見落とされます。稟議は通ったのに購買部門の与信や反社会的勢力の確認で止まり、撮影日を組み直した、という話は珍しくありません。直接発注を検討する段階で、自社の購買規程がどう定めているかを先に確認しておくと、あとで日程を触らずに済みます。
下のリストの2つ目、「撮影日が動かせない」は、金額の比較とは別の軸です。日程が動かせない撮影で当日に穴が空いたときの損害は、撮影費用よりはるかに大きくなります。ここに当てはまる撮影が年に1本でもあるなら、その1本だけ手配会社に出す、という使い分けも現実的です。
まとめ|「乗っているか」ではなく「何が減るか」で比べる
手数料は乗っています。それを隠さずに書いたうえで、この記事でお伝えしたかったのは、比較の軸を「乗っているかどうか」から「御社の担当者の仕事が何工程減るか」に移していただきたい、ということです。9工程の表と、人件費単価を入れる表は、そのために置きました。
計算した結果、直接発注のほうが御社にとって合理的だという答えになることは十分あります。社内にディレクションできる人がいて、信頼できるカメラマンと組めているなら、そちらのほうが早くて安いです。そのときは、直接お願いしてください。手配会社が要らない状態を「うちの負けだ」とは思っていません。それは撮影の体制が社内で整っているということで、企業としては強い状態です。
そのうえで、当日の進行に人を割けない、日程が動かせない、撮影の種類が増えてきた、というあたりで直接発注は苦しくなります。その苦しさの正体は、撮影費用ではなく9工程のほうにあります。手数料は、その9工程を外に出すための金額です。中身を分解して書いたので、それが御社にとって払う価値のある金額かどうかを、数字で判断していただければと思います。
この記事の次に読むと、判断が一段進みます
手数料の考え方が整理できたら、次は選択肢の比較と、社内での通し方です。
- 撮影会社・個人・エージェントの違いを並べて見たいとき:撮影会社と個人カメラマンとエージェント、どう違うのか
- 撮影費用の内訳そのものを分解して見たいとき:企業撮影の相場を、内訳まで全部公開する
- この判断を稟議書に落とし込みたいとき:社内の稟議を通すための「撮影費用」の説明の仕方
- 安い見積りに何が隠れているかを確認したいとき:撮影の見積もりが安すぎるとき、そこに隠れている6つのコスト
9工程の表を埋めてみて、社内で持つには重いと感じた工程があれば、その部分だけでもご相談ください。撮影日と場所、撮影する人数、写真を使いたい媒体をお知らせいただければ、どの枠が必要か、諸経費がいくらになるかまで書き出してお送りします。直接発注と比べたいという前提でのご相談でも構いません。稟議に添付できる形式でもお出しします。
よくある質問
撮影エージェントに頼むと、中間マージンが乗るのですか
乗ります。カメラマンにお支払いする金額と、御社にご請求する金額は同じではありません。日本プロカメラマン手配でも、御社のお支払いには運営会社が受け取る分が含まれています。その分の対価は、用途に合うカメラマンの目利き、当日のディレクション、代替体制の確保、契約と請求の窓口の一本化、レタッチ基準の統一という5つの作業です。判断していただきたいのは、乗っているかどうかではなく、その5つを社内で持った場合にかかる時間との比較です。
個人カメラマンに直接頼んだほうが安くなりますか
撮影費用だけを比べれば安くなることが多いです。ただし直接発注では、探す・絞る・見積りを取る・購買と法務の審査を通す・契約とNDAを結ぶ・当日の指示出しをする・納品データを確認する・請求と支払を処理する・事故時に再手配する、という9つの工程が御社側に戻ります。この9工程にかかる時間に御社の人件費単価を掛けた額を撮影費用に足したうえで比べてください。計算の結果、直接発注のほうが合理的になる企業はあります。
手数料は何パーセントですか。内訳を教えてもらえますか
手数料の割合は公開していません。案件ごとに条件が違い、一律の数字として出すと誤解を生むためです。代わりに、御社が支払う総額を見積りの段階で確定させています。諸経費(交通費・スタジオ代など)は実費でお通しして運営会社の上乗せはなく、撮影後に見積りにない費用が追加されることもありません。基本料金はハーフ(半日・4時間枠)66,000円(税込)、フル(1日・8時間枠)132,000円(税込)で、標準機材と商用利用権を含みます。
エージェント経由だとカメラマンの取り分が減って、写真の質が落ちませんか
報酬額や料率は個別の取り決めで、公開していません。書けるのは構図までです。登録カメラマンは業務委託で、営業・請求・条件交渉は運営会社が持ち、クライアントとの窓口と品質管理も運営会社が行います。カメラマン側は営業や請求の手間が手元から離れる代わりに、単価は自分で交渉した場合と同じにはなりません。この交換が成立していると考えるかどうかは、個々のカメラマンが判断して登録しています。なお写真の質は報酬だけで決まらず、事前の撮影スロットと当日の指示の明確さに大きく左右されます。
手配会社を使わないほうがよいのは、どんなときですか
3つあります。社内に撮影のディレクションができる人がいて当日の指示出しを任せられる場合、すでに信頼できるカメラマンと条件を書面で確認し合える関係ができている場合、撮影が年1回程度で社内工数を割いてでも直接の関係を作りたい場合です。この3つのどれかに当てはまるなら、直接お願いしたほうが早く済みます。逆に、撮影日が動かせない、担当者が当日の進行に張り付けない、といった条件が重なる撮影では、手配会社に外に出す価値が出ます。
