クリニックの撮影は、規制の判断と撮影の実務を分けると前に進みます。医療広告に当たるかどうかを決めるのは医療機関側と所管の窓口であり、撮影側が引き受けるのは、その判断ができる状態の素材を用意することと、患者さんが写り込まない当日の設計です。この線引きを先に置くと、撮影日が止まりません。
結論|クリニックの撮影は「規制の判断」と「撮影の実務」を分けて進める
CLINIC PHOTO

クリニックのウェブサイトを作り直すので写真を撮りたい、というご相談をいただくとき、担当の方がいちばん不安に感じておられるのは撮影そのものではありません。「撮った写真を、そのまま載せていいのか分からない」という部分です。医療機関の広告には、一般の企業広告にはない決まりがあるとされていて、そこに引っかかる写真を撮ってしまうのが怖い、というお話をよく伺います。
その不安は正しい方向を向いています。ただ、不安の置きどころを少しずらしたほうが、話が早く進みます。掲載してよいかどうかを決めるのは、撮影会社でもカメラマンでもありません。医療機関側の広告審査と、所管の保健所や自治体の医療広告担当窓口、必要に応じて顧問弁護士のご確認によります。撮影側がそこを代わりに判断することはできませんし、するべきでもありません。
では撮影側は何を引き受けるのか。2つあります。1つは、掲載の判断がどちらに転んでも困らない素材を用意すること。もう1つは、患者さんが写り込まない、診療を止めない、院内の決まりを破らないという当日の実務です。この2つは撮影側の責任範囲で、ここは私たちが言い切れる領域です。
この記事では、クリニックの撮影で関わる規制が4系統に分かれることを整理し、写真の出口ごとに確認すべきことを表にします。そのうえで、院長・スタッフ・施設・診療風景という被写体別の実務、患者さんやモニターの写り込みを外す手当て、感染対策と立入区域の前提、休診日・診療時間外・昼休みという枠取りの3択、発注前チェックリスト、費用の考え方までを書きます。
この記事の立ち位置について
この記事は、医療機関の撮影を手配してきた立場から、撮影実務の側を整理したものです。医療広告に関する法令やガイドラインの解釈を示すものではなく、法的な助言でもありません。ある表示が広告に当たるか、どのような条件で掲載できるかといった判断は、所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口へのご確認と、医療機関側の広告審査・顧問弁護士のご確認によります。この記事に出てくる規制の話は、すべて「確認すべき論点」として読んでください。判断そのものは扱いません。
クリニックの撮影で関わる「規制」は1種類ではない
クリニックの撮影で気にすべき決まりは、大きく4系統に分かれます。医療広告に関する規制、患者さんの個人情報と肖像権、院内感染対策と安全、そして建物の施設管理者のルールです。この4つは判断する主体も、確認先も、撮影側が関われる範囲も違います。
4つを分けて考える理由は、まとめて「規制」と呼んでいると確認先が分からなくなるからです。「これは載せてよいか」という質問と「これは撮ってよいか」という質問は別のものですし、答えを持っている人も違います。撮影の段取りが止まる場面のほとんどは、質問の宛先を間違えているだけです。
| 系統 | 何を対象にするか | 判断・確認の主体 | 撮影側が関わる範囲 |
|---|---|---|---|
| (1) 医療広告に関する規制 | 患者さんを誘引する目的で行う表示。ウェブサイト、パンフレット、看板、広告などに載せる内容が対象になるとされています | 医療機関側の広告審査、所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口、必要に応じて顧問弁護士 | 掲載可否の判断はしない。判断ができる状態の素材と、撮影時の記録を用意する |
| (2) 個人情報・肖像権 | 患者さん、付き添いの方、通行人、外部業者など、写っている人が特定できる状態 | 医療機関(管理者)と、写っている本人。同意の取り方は医療機関の運用に従う | 写り込みが起きない撮影設計、同意の取得タイミングの提案、同意が取れていない人を撮らない進行 |
| (3) 院内感染対策・安全 | 撮影者と機材が院内に入ること、清潔区域や処置エリアへの立ち入り | 医療機関の感染対策の責任者、看護部門、院長 | 指示された区域の範囲を守る。機材の清拭、服装、動線、健康状態の申告に応じる |
| (4) 施設管理者のルール | 医療モール、テナントビル、商業施設の共用部やエントランス、外観の撮影 | 建物の管理会社、モールの運営会社、ビルオーナー | 共用部で撮る予定があるなら、日程を決める前に確認を依頼する項目として先出しする |
この表で見落とされやすいのが4行目です。医療モールやテナントビルに入っているクリニックでは、自院の中は院長の判断で撮れても、エントランス、共用の廊下、看板、建物の外観は管理会社の領分になります。「クリニックの外観カットを1枚」という軽い依頼が、当日になって共用部での三脚設置を断られて撮れない、ということが実際に起きます。
もう1つ、この4系統のうち撮影側が最も強く関われるのが2番目と3番目です。医療広告の判断はお預かりできませんが、患者さんが写らない進行を組むこと、清潔区域に入らない動線を作ることは、撮影の段取りそのものです。だからこの記事の中心は、その2つに置いています。
なお、撮影を外部に委託すること自体のコンプライアンス(秘密保持、委託先の確認、契約の締結)は、医療機関に限らず共通する論点です。そちらは反社チェック・秘密保持、撮影外注のコンプライアンス実務にまとめてあります。クリニックでは特に、院内で見聞きした内容の取り扱いについて、撮影者側と秘密保持の取り決めを交わしておくのが実務的です。
写真の出口ごとに、確認すべきことが変わる
撮った写真をどこに載せるかによって、確認すべき論点が変わります。自院ウェブサイト、パンフレットや看板、院内掲示、採用サイト、学会発表や院内記録、報道向けの提供。この6つは、同じ写真を使う場合でも、確認先と確認事項が同じではありません。
先に出口を決める理由は、必要なカットが出口から決まるからです。ウェブサイトのトップに置く横位置のカットと、院内掲示のA4縦、採用サイトのヘッダー、学会資料の中に入れる図版では、求められる比率も、写っていてよいものも違います。「一通り撮っておいてください」という発注は、出口が固まっていないときに出てきますが、これがいちばん外れやすい頼み方です。
| 写真の出口 | 先に確認しておきたい論点 | 確認先の目安 | 撮影側で先に整えること |
|---|---|---|---|
| 自院ウェブサイト | ウェブサイトの記載も医療広告に関する規制の対象に含まれるとされています。写真とセットで載せる文言、比較や効果の表現をどう扱うか | 医療機関側の広告審査、所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口 | 写真だけで効果を主張する構図にしない。キャプションで説明できる余白を残した構図を用意する |
| パンフレット・チラシ・院外の看板 | 配布や掲示の範囲。院外に出る印刷物は扱いが変わりうるため、掲載内容の審査を通す前提で組む | 医療機関側の広告審査、制作会社、所管の窓口 | 印刷に耐える解像度と、トリミングの余白。差し替えが起きる前提でカットを複数用意する |
| 院内掲示・院内で配る資料 | 院内での掲示物は、院外へ出る広告とは扱いが異なるとされています。どこまでが院内かの線引きを医療機関側で確認する | 医療機関側の判断。迷う場合は所管の窓口 | 院内掲示用に撮ったカットが、後からウェブサイトへ流用される前提で撮る(流用時に審査が要る旨を申し送る) |
| 採用サイト・求人媒体 | 求職者に向けた表示と、患者さんを誘引する表示のどちらに当たるのかの整理。媒体側の掲載規約も乗る | 医療機関側の広告審査、求人媒体の担当 | スタッフ本人の同意、退職時の差し替え運用、名札やIDの写り込みの扱いを先に決める |
| 学会発表・論文・院内の記録 | 広告ではなく学術・記録の領域。患者さんが写る場合は同意の取得と、必要に応じて倫理審査の手続き | 医療機関の倫理委員会、学会・投稿先の規定 | この用途のカットは広報用と分けて撮る。混ざると後で切り分けができなくなる |
| プレスリリース・取材対応 | 配信先や媒体側の規約が別途乗る。二次利用の範囲を先に決めておく | 医療機関側の広報判断、配信サービス・媒体 | 媒体側が求める解像度と比率、クレジット表記の要否を撮影前に確認する |
この表の3行目と4行目は、実務でいちばん混ざります。院内掲示用に撮ったスタッフ紹介の写真を、半年後にウェブサイトのスタッフ紹介ページへ流用する。採用サイト用に撮った診療風景を、診療案内のページへ回す。どちらもよくある流れですが、流用した先で扱いが変わりうるので、そこで一度確認が要ります。
だから私たちは、撮影の段階で「このカットはどの出口を想定して撮ったか」をカット単位で残すようにしています。後で流用するときに、元の想定が分かっていれば確認の手間が減るからです。フォルダを出口ごとに分けて納品するだけでも、半年後の担当者が助かります。
報道向けの提供を考えている場合は、媒体側が求める条件が別に乗ります。開院や新しい設備の導入をリリースする予定があるなら、プレスリリースに載る写真の条件を先に見ておくと、撮り直しが減ります。ウェブサイト用のカットをそのまま回そうとして、解像度や比率が足りずに使えないというのが、よくある詰まり方です。
撮影側が引き受けるのは「判断ができる状態の素材」と当日の実務
クリニックの撮影では、役割分担を先に決めておくと進みが速くなります。広告として掲載してよいかの判断は医療機関側と専門家の領域、撮影して素材を用意することと当日の進行は撮影側の領域です。この線を引かないまま進めると、撮影会社に規制の判断を求める場面が出てきて、そこで話が止まります。
撮影会社が「この写真なら大丈夫です」と言うことには、何の保証もありません。医療広告の判断は、写真単体ではなく、周りの文言や見せ方、その医療機関の状況と合わせて行われるものだからです。撮影側が請け合ってしまうと、かえって確認が抜けます。正直に「そこは判断できません」と申し上げるほうが、結果的にクリニックを守ります。
| 項目 | クリニック側・専門家が判断すること | 撮影側が引き受けること |
|---|---|---|
| 掲載の可否 | その写真と文言の組み合わせを、自院のウェブサイトや印刷物に掲載してよいか。判断は広告審査と所管の窓口、顧問弁護士による | 掲載判断をしない。判断に必要な情報(誰が写っているか、どういう状況で撮ったか)を添えて納品する |
| 診療風景の扱い | 再現カットとして撮ることの可否、演者を誰にするか、表記をどうするか | 再現で撮る段取りの組み立て。実際の患者さんを撮らない進行を担保する |
| 患者さんの写り込み | 同意を取るかどうか、取る場合の書式と運用(院の個人情報の取り扱いに沿う) | 写り込みが起きない時間帯・動線の設計。同意が確認できていない人は撮らない |
| 院内への立ち入り | どの区域に入ってよいか、感染対策として何を求めるか | 指示された範囲を守る。機材の清拭、服装、健康状態の申告に応じる |
| 設備・機器の表示 | 機器のメーカー名や型番を写してよいか、表示に制約があるか | 写り込む範囲を撮影前に一覧で出し、確認を受けてから撮る |
| 納品後の使い方 | どの媒体にどう載せるか。流用時の再確認 | 出口ごとに分けた納品と、撮影時の想定用途の申し送り |
この分担を最初の打ち合わせで共有しておくと、当日に判断を求められる場面がほぼなくなります。逆に、分担が曖昧なまま撮影日を迎えると、現場で「これ、撮って大丈夫でしたっけ」というやり取りが何度も起きて、そのたびに進行が止まります。止まった分の時間は、そのまま撮影枠を削ります。
撮影を外注するときの一般的な確認項目は撮影を外注する前に確認すべきチェックリスト20項目にまとめています。クリニックの場合は、それに加えて上の分担表を1枚共有しておくと、院内で説明するときの材料にもなります。
被写体別|院長・スタッフ・施設・診療風景で注意点が変わる
クリニックの撮影で撮る対象は、大きく4つに分かれます。院長・医師のプロフィール写真、スタッフの集合・個人写真、施設と設備の内外観、そして診療風景の再現カット。この4つは、注意すべき点も、当日の段取りも違います。
4つを分けて考えると、時間の割り振りが決まります。人物が入るカットは人の都合で動き、施設のカットは時間帯と光で決まる。この性質の違いを踏まえて順番を組むのが、当日の設計です。
院長・医師のプロフィール写真
院長のプロフィール写真で先に決めるのは、服装と背景です。白衣かスクラブか、私服の上に白衣を羽織るのか。聴診器を掛けるか掛けないか。名札をどう見せるか。この4点が決まっていないと、撮影の直前に更衣で時間を使います。
背景は、想像以上に落とし穴になります。診察室や院長室を背景に撮ると、壁の掲示物、書棚の背表紙、机の上の書類、モニター、カレンダーの書き込みが一緒に写ります。とくに、自由診療の価格表や施術の案内ポスターが背景に入っている写真は、後から使いにくくなります。写真そのものは問題なくても、背景に写り込んだ掲示物の内容が、掲載の判断にかかってくる可能性があるためです。
実務的には、背景を先に作ってしまうのがいちばん速い解決です。診察室の一角を片付けて背景にする、白い壁や書棚の前で撮る、あるいは背景紙を持ち込む。撮影者が現地に着いてから背景を探すと、それだけで30分が消えます。経営者・役員のポートレート全般の考え方は社長・役員のプロフィール写真、失敗しないための全知識にまとめてあるので、表情や姿勢の作り方はそちらをご覧ください。
もう1点、写真そのものではありませんが、プロフィール写真に添える肩書や経歴の表示については、医療機関の広告として扱われる場面があるとされています。写真の横に何を書くかは、撮影とは別に医療機関側でご確認ください。撮影側としては、キャプションを置く余白を残した構図を何パターンか用意しておく、というのが手当てになります。
スタッフの集合写真・個人写真
スタッフの写真で先に決めるのは、誰が写るかと、写った人の同意です。ウェブサイトに顔を出すことに抵抗がある方は一定数いらっしゃいますし、それは撮影当日に確認する話ではありません。事前に意向を聞いておき、顔出しをしない方には別の見せ方(後ろ姿、手元、集合写真での立ち位置)を用意します。
クリニックのスタッフ写真に固有の事情として、シフト制で全員が同じ日に揃わない、という問題があります。看護師、医療事務、技師、非常勤の医師。全員を1枚に収めたいなら、揃う日を先に探す必要があります。揃わないなら、集合写真は主要メンバーで撮り、個人カットを別日に足すという分け方になります。
同意書を誰が用意するのか、どういう書式にするのかはモデルリリース(肖像権同意書)は誰が用意するのかに整理しました。クリニックの場合は、スタッフ用の同意と、万一患者さんが写る場合の同意を分けて考えたほうが実務が回ります。前者は雇用関係の中での運用、後者は医療機関の個人情報の取り扱いに沿う運用になるためです。
人数が多い医療法人や複数拠点のクリニックで、全スタッフの個人写真を揃える場合は、撮影の設計そのものが変わります。1日で何人撮れるか、拠点をどう回るか、後から入職した人をどう追加するか。その進め方は100人規模の社員写真を揃える進め方に書きました。
施設・設備の内外観
施設のカットで最初に決めるのは、撮る場所の一覧です。外観、看板、エントランス、受付、待合室、診察室、処置室、検査室、トイレ、キッズスペース、駐車場。どこを撮るかを先に紙で決めておくと、当日の移動が最短になります。
この一覧を作るときに、同時に確認しておきたいのが機器の扱いです。検査機器や治療機器には、メーカー名やロゴ、型番が表示されています。それを写してよいか、写す場合に表示の制約があるかは、医療機関側で確認する項目です。撮影側としては、写り込む機器の一覧を撮影前に出して、確認を受けてから撮るのが安全です。
私は元カメラマンとして院内の撮影に入っていた頃、この確認を怠って痛い目を見たことがあります。処置室を一通り撮り終えて戻ってから、机の端に置かれた書類の一角が写り込んでいることに気づいた。1枚ではなく、その部屋のカットのほとんどに入っていました。角度を変えれば済んだ話が、部屋ごと撮り直しになりました。撮る前に机の上を空にしておけば、10秒で終わっていた話です。
それ以来、院内の撮影では部屋に入った時点でまず全体を見渡し、紙とモニターと掲示物を確認してからカメラを構えるようにしています。撮り終えてから気づくと、その部屋にもう一度入る時間が取れないことが多いためです。診療の合間に撮っている場合はなおさらです。
診療風景の再現カット
診療風景は、実際の患者さんではなく、スタッフまたは手配したモデルによる再現で撮ります。これがクリニック撮影の実務上の解で、ほとんどの現場がこの方法を取っています。実際の診療の場に撮影者が入って撮るという選択肢は、診療の妨げになることと、患者さんの同意の問題の両方から、現実的ではありません。
再現で撮ると決めておくと、段取りが一気に楽になります。時間を自由に選べる、何度でも撮り直せる、構図を作れる、同意の問題が起きない。このいずれもが、実際の診療の場では成立しません。詳しい進め方は次の章に分けて書きます。
「診療風景」は再現カットで撮るのが実務の解
診療風景のカットは、スタッフか手配したモデルに患者役を務めてもらい、診療の場面を再現して撮ります。実際の患者さんを撮らないことで、同意の問題も、診療を止める問題も、両方が消えます。演者を誰にするかは、院の事情に合わせて選びます。
演者の選択肢は3つあります。院内のスタッフに患者役をお願いする、院長やスタッフのご家族・知人にお願いする、モデルを手配する。それぞれに向き不向きがあるので、比較しておきます。
| 演者 | 向いている場面 | 手配の負担 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 院内のスタッフ | 受付、問診、案内、処置の補助など、動きの説明が必要な場面。休診日に全員で撮るとき | 追加の費用がかからない。当日の調整だけで済む | 白衣姿を見慣れている人が私服で患者役に回ると、雰囲気が作りにくいことがある。同一人物が複数のカットに出ると、サイト全体で使い回し感が出る |
| スタッフの家族・知人 | 小児科の子ども、内科の高齢の方など、スタッフでは年齢層が合わない場合 | 院側で声をかける手間がかかる。当日の拘束時間の説明が要る | 同意の取り方を先に決める。謝礼の扱いも決めておく。当日に来られなくなるリスクがある |
| 手配したモデル | 特定の年齢層・性別が要る場合、ウェブサイトの主要カットとして完成度を求める場合 | 手配と費用がかかる。日程を先に押さえる必要がある | 使用範囲(媒体・期間)を契約で決める。院の雰囲気から浮かないよう、演技の方向を撮影前に共有する |
再現カットで気をつけるのは、見る人に誤解を与えない見せ方です。再現であることが分かる表記を添えるかどうか、添えるならどう書くかは、医療機関側でご判断ください。この点についても、掲載の判断は撮影側では行いません。ただ、実務としては「イメージです」「写真はイメージです」といった表記を添えている医療機関が多い、という事実は共有できます。
もう1つ、再現の程度についても先に決めておきます。実際の処置をそのまま再現するのか、雰囲気だけを伝える構図にするのか。機器に触れる場面を撮るなら、機器の扱いに慣れた人が演じる必要がありますし、実際に使用しない状態で構図を作るのか、通電させるのかも決めておきます。ここは安全の話なので、医療機関側の指示に従います。
手配する側として見ていると、この「再現で撮る」という前提が共有されていないまま撮影日を迎えるケースが、今でもあります。当日に「実際の診察の様子を撮ってほしい」というお話が出て、そこから患者さんへの説明をどうするかという相談が始まる。撮影枠は動かせないので、その時間がそのまま削られます。打ち合わせの段階で一言決めておけば済む話です。
なお、再現カットに出てもらうスタッフやモデルにも、写真の使用について同意を取る必要があります。スタッフの場合は他のスタッフ写真と同じ運用でよいのですが、モデルを手配する場合は使用範囲と期間を契約で決めます。二次利用の範囲がどこまでを指すのかは写真の「買い取り」「二次利用可」の意味に整理しました。
院内の写り込み|患者さん・モニター・掲示物をどう外すか
院内の撮影で外すべき写り込みは、大きく3種類です。患者さんと付き添いの方、患者情報が表示されているもの(モニター・書類・呼び出し表示)、そして掲示物です。この3つを撮影前に手当てしておくと、撮ったあとで使えないカットが出ません。
写り込みは、後処理で消すより撮影時に起こさないほうが速くて安全です。修整で消すこと自体はできますが、全カットに及ぶと工数が乗りますし、小さく写った1箇所を見落とすリスクが残ります。撮影前の5分で机の上を片付けるほうが、確実です。
| 写り込みやすいもの | どこで起きるか | 撮影前・当日の手当て |
|---|---|---|
| 電子カルテ・受付システムの画面 | 診察室、受付カウンター、処置室、ナースステーション | 撮影中はログアウトするか、スクリーンセーバー・ダミー表示に切り替える。モニターの角度を変える。画面が消えた黒いモニターのほうが写真としても落ち着く |
| 予約表・受付のホワイトボード・申し送りメモ | 受付の背面、スタッフルーム、ナースステーション | 裏返す、マグネットや付箋を外す、布をかける。撮影する部屋だけで構わないので事前に外しておく |
| 処方箋・紹介状・検査結果・問診票 | 診察室の机、受付カウンター、処置室のワゴン | 撮る部屋の机上とワゴンを、撮影前に空にする。机上を空にすると写真そのものも整って見える |
| 患者名の表示・呼び出しモニター・順番表示 | 待合室、受付、処置室の入口 | 撮影時間帯は表示を消す、電源を落とす、または名前の出ない表示に切り替える |
| 他の患者さん・付き添いの方 | 待合室、廊下、エントランス、駐車場 | 休診日や診療時間外に撮る。診療中に撮る場合は待合を避け、スタッフに通行の案内を頼む |
| 掲示物・ポスター・院外の案内物 | 待合室の壁、廊下、受付前、エレベーターホール | 写り込む範囲を撮影前に確認する。掲載の判断に関わりそうな内容の掲示物は、その時間だけ外すか構図から外す |
| 窓の外の通行人・近隣の建物や看板 | 診察室や待合の窓際、エントランス | ブラインドやカーテンで調整する。角度を変えて窓の外を入れない構図にする |
| 機器のメーカー名・ロゴ・型番 | 検査室、処置室、診察室 | 写してよいかを事前に確認する。伏せる場合は角度とピント位置で処理し、後処理に頼らない |
| スタッフの私物・飲食物・私用の端末 | 受付の足元、スタッフルーム、机の下 | 撮影する部屋から私物をまとめて出す。カバンやコートは別室へ移す |
この表は、撮影の3日前くらいにスタッフへ共有しておくのがちょうどよいタイミングです。当日の朝に渡すと、開院前の忙しい時間に片付けをお願いすることになります。撮影する部屋だけでよいので、前日の終業後に済ませていただけると、当日がまるごと撮影に使えます。
患者さんの写り込みについては、防ぎきる前提で組むのが原則です。同意を取って写っていただくという選択肢もありますが、その場合は医療機関の個人情報の取り扱いに沿った運用が要りますし、通院していること自体が知られたくない情報であるという前提を外せません。撮影の都合で患者さんに負担をかけない、という線は守ったほうがよいと考えています。
ここは、立入制限のある現場を撮るという意味で、工場や製造現場の撮影と発想が近い部分があります。稼働中の現場に撮影者が入るときの安全と機密の押さえ方は工場・製造現場の撮影で押さえる安全と段取りに整理しました。守るものが機密情報か患者情報かという違いはありますが、「入る前に決めておく」という構造は共通しています。
感染対策と立入区域|撮影者が院内に入るときの前提
撮影者が院内に入るときは、医療機関の感染対策の指示に従うのが前提です。どの区域まで入ってよいか、何を着るか、機材をどう扱うかは、撮影側が判断することではありません。医療機関側から指示をいただき、その範囲で撮ります。
この前提を打ち合わせで明示しておくと、当日の判断が減ります。「ここまで入っていいですか」と現場で聞くより、事前に入れる範囲の一覧をいただいておくほうが、お互いに早いからです。とくに、手術室や滅菌が必要なエリアがあるクリニックでは、撮影の可否そのものが変わります。
- 撮影者が入ってよい区域と、入れない区域を、部屋の一覧で指定していただく
- 区域ごとに求められる服装(白衣・ガウン・帽子・マスク・シューズカバー)を事前に共有していただく
- 手指衛生のタイミングと、院内で使える消毒剤の場所を確認する
- 持ち込む機材(カメラ・レンズ・三脚・ストロボ・脚立・ケーブル)の一覧を事前に出し、清拭の要否を確認する
- 三脚や照明スタンドを立ててよい場所と、通路をふさがない動線を決める
- 撮影者の健康状態の申告や、体調不良時の代替対応の取り決めを確認する
- 院内に入る撮影スタッフの人数と、当日の案内役をどなたが務めるかを決める
- 撮影中に緊急の診療が発生した場合、どう中断してどこへ退避するかを決めておく
最後の項目は、抜けやすいわりに大事です。休診日でない日に撮っている場合、急な患者さんの来院や、スタッフが対応に回る場面が起こりえます。そのときに撮影者が廊下で機材を広げたままだと、単純に邪魔になります。中断の合図と退避先を決めておけば、その場で誰も判断しなくて済みます。
機材については、院内での使用に制約が出ることがあります。ストロボの発光を控えてほしい場所、電源を借りられない場所、キャスター付きの機材を入れられない場所。こうした制約は建物と診療科によって違うので、撮影者が現地に着いてから知るのではなく、事前に共有していただくのが確実です。制約が分かっていれば、それに合う機材構成で行けます。
感染対策について、撮影側が決めないこと
どの区域に入ってよいか、どのような感染対策を求めるかは、医療機関側の判断です。この記事で標準的な基準を示すことはできませんし、撮影会社が「この程度で問題ありません」と判断することもありません。撮影側から申し上げるのは、指示された内容にその通り従うこと、機材と人員の情報を事前に開示すること、判断が要る場面では立ち止まってお伺いを立てることまでです。クリニックによって求められる内容は異なるため、撮影の打ち合わせの段階で条件を出していただくようお願いしています。
撮影当日の枠取り|休診日・診療時間外・昼休みの3択
クリニックの撮影は、休診日、診療時間外(早朝または夜間)、昼休みの3つのどれかで撮ります。診療中の時間帯に院内を撮るのは、患者さんの写り込みと診療の妨げの両方から、現実的ではありません。この3択のどれを選ぶかで、撮れる内容と必要な枠が変わります。
選び方の軸は、撮る量と、人が何人要るかです。スタッフ全員の写真と施設一式を一度に揃えるなら休診日、院長のプロフィールだけなら診療時間外でも足ります。昼休みは枠が短いので、追加や差し替えの撮影に向きます。
| 枠 | 撮れる内容 | 制約 | 向いている撮影 |
|---|---|---|---|
| 休診日(終日または半日) | 施設の全室、スタッフの集合・個人、診療風景の再現、院長のプロフィールまで一通り | スタッフに出勤してもらう必要がある。休診日を撮影に充てることを事前に周知する | ウェブサイトのリニューアル、開院前の撮影、スタッフ写真をまとめて揃えるとき |
| 診療時間外(早朝・夜間) | 施設の内観、院長のプロフィール、少人数のスタッフカット。外観は時間帯で可否が分かれる | 撮影できる時間の幅が限られる。夜間は外観と窓のある部屋の光が変わる。早朝は外観に向くが集まれる人が限られる | 院長のプロフィール撮影、内観の追加撮影、部分的な差し替え |
| 昼休み(休憩時間) | 院長または数名のプロフィール、1〜2室の内観、小さな差し替えカット | 実質1時間前後しか取れない。スタッフの休憩を削ることになるので、撮る内容を絞る必要がある | スタッフの入れ替わりに伴う個人写真の追加、1カットだけの撮り直し |
この3択のうち、最も費用対効果が高いのは休診日の半日枠です。4時間あれば、施設の主要な部屋と、スタッフの集合・個人、診療風景の再現までを一通り撮れる規模のクリニックが多いためです。診療時間外や昼休みに小分けにすると、そのたびに枠が発生します。
外観のカットだけは、時間帯の制約が別に乗ります。建物の向きによって順光になる時間が決まりますし、看板を光らせた夜間のカットが要るなら、日没後の時間に枠を合わせる必要があります。外観で狙いたい絵があるなら、内観の枠とつなげて時間を設計します。
撮影の順番にも意味があります。人が集まる時間を先に固定し、そのあとに施設を撮るのが基本です。人は待たせると疲れますが、部屋は待っていても変わらないからです。ただし窓のある部屋は時間で光が変わるので、明るいうちに押さえておきたい部屋があれば、そこだけ先に回します。
この時間割を作るのは、撮影の内容を把握している側のほうが精度が出ます。日本プロカメラマン手配では、事前の撮影スロット(時間割)の作成を運営会社側で担当しています。何時から何分間、どの部屋で、誰が入るか。これを紙にしてお渡しすると、当日にスタッフへ回していただくだけで進行が組めます。
撮影日までの段取り|決める順番を逆算する
クリニックの撮影は、写真の出口を決めるところから始めて、撮影日を最後に置きます。出口が決まらないとカットが決まらず、カットが決まらないと枠が決まらず、枠が決まらないと休診日のどこに入れるかが決まらないからです。順番を逆にすると、日程だけ先に押さえて中身が固まらない状態になります。
以下の6ステップで進めると、当日に決めることがほぼなくなります。医療機関側で確認が要る項目(広告の判断、立入の範囲、機器の表示)は、いずれも前半に置いてあります。確認に時間がかかる項目を後ろに置くと、撮影日が動くためです。
写真の出口を決め、必要なカットを一覧にする
自院ウェブサイト、パンフレット、院内掲示、採用サイト、報道向け。どの出口に使うかを先に決め、そこから必要なカットを書き出します。カットは写真の側からではなく、載せるページや資料の構成から起こしてください。「トップのメインビジュアル(横位置)」「診療案内ページの診察室(縦位置)」のように、場所と向きで書くと、撮影者と共有したときにずれません。ここで出口が2つ以上あるなら、それぞれで確認が要る項目も並べておきます。
広告に関する確認が要る項目を洗い出し、確認に回す
カット一覧のうち、掲載の判断に関わりそうな項目を抜き出します。治療の前後を示す写真、患者さんの声と組み合わせる写真、自由診療の案内に添える写真、設備の性能に触れる説明に添える写真。該当しそうなものがあれば、この段階で医療機関側の広告審査や所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口へ確認に回してください。確認の結果がカットの要否を変えるので、撮影日を決める前に動かします。撮影側は確認の結果を待ち、決まった範囲で撮ります。
立入区域・感染対策・機器の表示について、院の条件をもらう
撮影者が入ってよい部屋の一覧、区域ごとの服装、機材の清拭の要否、写してよい機器の範囲。この4つを医療機関側から条件として出していただきます。テナントビルや医療モールに入っている場合は、共用部とエントランス、外観の撮影について管理会社への確認もこの段階です。確認に数日かかることがあるので、撮影日の候補を出すより前に始めます。条件が固まると、持ち込む機材の構成も決まります。
診療風景の演者と、写るスタッフの同意を固める
診療風景を誰に演じてもらうか(スタッフ・ご家族や知人・手配するモデル)を決めます。同時に、写真に写るスタッフ全員に意向を確認し、顔出しを希望されない方には別の見せ方を用意します。同意の書式と運用は医療機関側の個人情報の取り扱いに沿って決めていただき、撮影側はそれに従います。モデルを手配する場合は、日程を押さえる必要があるため、この段階で撮影日の候補が必要になります。
撮影日を休診日・診療時間外・昼休みから選び、時間割を作る
カット数と人数が決まったら、3つの枠から撮影日を選びます。施設一式とスタッフ写真を揃えるなら休診日、院長のプロフィール中心なら診療時間外でも足ります。決まったら、何時から何分間・どの部屋で・誰が入るかの時間割を作ります。人が集まる時間を先に固定し、施設はそのあとに回すのが基本です。日本プロカメラマン手配では、この撮影スロットの作成を運営会社側で担当し、当日そのまま配れる形でお渡ししています。
前日までに院内の片付けを済ませ、当日の案内役を決める
撮影する部屋の机上を空にし、モニターの表示を落とし、予約表やホワイトボードを外し、私物を別室へ移します。前日の終業後に済ませておくと、当日の時間をまるごと撮影に使えます。加えて、当日に院内を案内してくださる方を1名決めていただきます。鍵の開閉、照明の操作、部屋の使用状況の把握ができる方だと、進行が止まりません。緊急の診療が入った場合の中断の合図と退避先も、この段階で決めておきます。
この6ステップで作った段取りは、次回の撮影でもそのまま使えます。スタッフが入れ替わったとき、内装を変えたとき、診療科を増やしたとき。出口とカット一覧を差し替えるだけで、残りの工程は同じです。定期的に写真を更新する予定があるなら、1回目で作った段取りを型にしておくと、2回目以降が早くなります。
院内の写真をいつ更新すべきかという判断は、クリニックに限らず共通する論点です。移転、改装、体制の変化を起点に更新を考える枠組みはコーポレートサイトの写真を撮り直すべきタイミングにまとめています。クリニックの場合は、これに「医師やスタッフの入れ替わり」と「設備の入れ替え」が加わります。
クリニック撮影の発注前チェックリスト
ここまでの内容を、撮影を発注する前に確認するチェックリストにまとめます。院内、制作会社、建物の管理会社のいずれかに聞けば答えが返る項目ばかりです。撮影日を決める前にこの一覧を埋めておくと、当日に判断を求められる場面がほとんどなくなります。
- 写真の出口(自院サイト・印刷物・院内掲示・採用・報道向け)を決めた
- 出口ごとに、掲載の判断が要る項目を洗い出し、確認に回した
- 広告に関する判断は医療機関側・専門家が行い、撮影側は素材を用意する、という分担を共有した
- 撮影する部屋の一覧を作り、入れない区域を指定した
- 区域ごとの服装・手指衛生・機材の清拭について、院の条件を撮影側へ共有した
- 写り込む機器のメーカー名・型番を写してよいかを確認した
- 診療風景を誰に演じてもらうか(スタッフ・家族や知人・手配するモデル)を決めた
- 再現カットであることの表記をどうするかを、医療機関側で決めた
- 写真に写るスタッフ全員に意向を確認し、顔出しをしない方の見せ方を決めた
- スタッフの同意の書式と運用を、院の個人情報の取り扱いに沿って決めた
- 撮影の枠を休診日・診療時間外・昼休みのどれにするかを決めた
- 外観で狙いたい時間帯(順光の時間・看板を光らせる夜間など)があるかを決めた
- 医療モール・テナントビルの場合、共用部と外観の撮影を管理会社に確認した
- 撮影する部屋の机上・モニター・予約表・私物を、前日までに片付ける段取りを決めた
- 当日に院内を案内し、鍵と照明を操作できる方を1名決めた
- 緊急の診療が入った場合の中断の合図と、機材の退避先を決めた
- 撮影者との秘密保持の取り決めを交わした
- 納品データの保管場所と、出口ごとのフォルダ分けの方針を決めた
このうち2番目と6番目は、確認に時間がかかることがあります。院内の広告審査に回す、所管の窓口へ問い合わせる、機器のメーカーへ確認する。いずれも数日から数週間かかる場合があるので、撮影日の候補を出すより先に動かしておくと、日程が崩れません。
このチェックリストで埋まらない欄が残っていても、その状態のままご相談いただいて構いません。診療科、院内で撮りたい場所、スタッフの人数、写真を使う予定の場所(自院サイト・パンフレット・採用ページなど)、撮影に充てられそうな日(休診日・診療時間外・昼休み)をお知らせいただければ、必要な撮影枠と総額、当日の時間割の案、そして医療機関側で先に確認しておいたほうがよい項目を書き出してお返しします。広告として掲載してよいかの判断は私たちでは行いませんが、どこを確認すべきかの整理はお手伝いできます。
撮影費用の考え方|休診日の半日枠に収める設計が現実的
クリニックの撮影費用は、撮る人数ではなく拘束時間で決まります。日本プロカメラマン手配の基本料金は時間単位で、ハーフ(半日・4時間枠)が60,000円+税=66,000円、フル(1日・8時間枠)が120,000円+税=132,000円です。標準機材(カメラ・レンズ・簡易照明)と商用利用権は、この基本料金に含みます。
時間で決まるということは、同じ日にまとめて撮るほど1枠に収まりやすい、ということでもあります。クリニックの場合、休診日の半日枠に施設とスタッフと診療風景をまとめて入れる設計が、いちばん収まりがよくなります。小分けにして何度も来てもらうより、まとめたほうが費用も院側の負担も減ります。
ハーフ4時間枠の内訳は、セッティング約30分、撮影約3時間、撤収約30分です。拘束時間はカメラマンの現地到着から撤収完了までで計測し、移動時間は課金しません。撮影の合間の待機時間は拘束に含みます。端数が生じた場合は30分単位で切り上げます。
| 撮る内容 | 枠の目安 | 前提になる条件 |
|---|---|---|
| 院長のプロフィールと院内の主要な部屋(受付・待合・診察室) | ハーフ(半日・4時間枠)66,000円税込 | 撮る部屋と順番を事前に決めること。案内と照明の操作ができる方が同行すること |
| 施設一式+スタッフの集合・個人+診療風景の再現 | フル(1日・8時間枠)132,000円税込 | スタッフが入る時間を時間割で決めること。撮影スロットの作成は運営会社が担当します |
| 外観で狙いたい時間帯がある(順光の時間・看板を光らせる夜間など) | 内観の枠とつなげるか、時間帯に枠の終わりを合わせる | 時間帯を待つ時間も拘束に含む。枠をまたぐ場合は延長または別枠として見積りに入れる |
| スタッフの人数が多く、ポートレートの点数が増える | ハーフで最大20名、フルで最大40〜50名が目安 | 1時間あたり6〜8名で保守的に計算した目安。進行担当者の配置と事前の撮影スロット作成が適用条件 |
| 複数の拠点・分院をまわる | 拠点ごとに枠を取る | 連続する日程での複数日発注は合計から一律10%オフ。日程が離れた飛び地の発注は対象外 |
| 進行の補助や、同時進行での撮影が要る | 進行アシスタント+30,000円+税=33,000円/2カメ(独立・同格)+120,000円+税=132,000円 | 必要かどうかは撮る内容と人数から判断します。見積りの段階でお伝えします |
| 予定の枠を超えた場合 | 延長は30分ごと(切り上げ)7,800円+税=8,580円 | 当日の延長はカメラマンのスケジュールによりお受けできない場合があります |
交通費などの諸経費は実費でお通しし、運営会社の上乗せはありません。見積りの段階で総額をお出しするので、撮影後に別途の請求が出ることはありません。見積書のどこを見れば工数の差が読めるかは撮影見積書の読み方に整理しました。
納期の目安は、少量(〜数十カット)が即日〜翌営業日、大量のポートレート(数十名〜)が5〜7営業日です。特急納品はオプションでお受けします。ウェブサイトの公開日が決まっている場合は、制作会社の作業日程から逆算して、納品日を先に決めておくのが安全です。
複数の分院を持つ医療法人で、開院・改装・スタッフ更新が年に何度も発生するなら、1件ずつ都度発注するより年間の計画として組んだほうが費用も手間も抑えられます。その組み立て方は年間で撮影を発注する企業のコスト最適化パターンに書きました。クリニックの場合は、休診日の曜日が決まっていることが多いので、年間計画を作りやすい部類に入ります。
なお、費用を抑えたいという理由で撮影の枠を切り詰めるのは、クリニックではおすすめしません。院内は撮り直しの機会を作りにくい場所だからです。休診日にもう一度スタッフを集めるのは、費用の問題ではなく調整の問題になります。安く済ませたつもりが撮り直しで倍かかる構造は「安いカメラマン」に頼んだ企業が、結局2倍払うことになる理由に書いた通りです。
日本プロカメラマン手配の場合|お引き受けする範囲と、お預かりしない判断
日本プロカメラマン手配は、企業専門のカメラマン手配サービスです。運営は株式会社ファーストブレイク(横浜市中区相生町3-60 泰生ビル308)で、私(代表・宮崎大地)は元カメラマンです。2012年の創業以来、300社を超える企業の撮影に携わってきました。クリニックの撮影では、人物・プロフィール撮影と、施設・職場風景の撮影を承っています。
お引き受けしないのは、医療広告として掲載してよいかどうかの判断です。ご相談の中で「これは載せられますか」というお話をいただくことはありますが、そこは所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口と、医療機関側の広告審査・顧問弁護士のご確認によります。撮影会社が請け合う話ではないと考えています。
その代わりに、確認が要りそうな項目を撮影の打ち合わせの段階で洗い出してお返しします。撮る予定のカットの中で、掲載の判断に関わりそうなものはどれか。どの順番で確認に回すと撮影日に間に合うか。この整理はお手伝いできますし、実際にそこがいちばん詰まりやすい部分です。
カメラマンは全国厳選30名程度の登録者から、撮影の内容に合う人を目利きしてアサインします。「探すだけ」のマッチングとの違いはここで、技術・機材・服装・態度・代替のリスクまで見た上で選びます。院内に入る撮影では、腕だけでなく、指示に従える人か、場をわきまえられる人かという部分が効きます。打ち合わせ、撮影スロットの作成、当日のディレクション、納品までは運営会社が一貫して担当するので、発注側が撮影者と個別に段取りを詰める必要はありません。
手配会社を通す場合に何に対して費用を払っているのかはエージェント経由の発注は「中抜き」なのか、正面から答えるに正面から書きました。クリニックの場合で言えば、院内の条件を撮影者へ正確に伝えること、当日の時間割を作ること、そして撮影者が体調を崩した場合に代わりを立てられること。この3つが、間に入る側の仕事です。
納品した写真の商用利用権は基本料金に含みます。自院サイト、パンフレット、院内掲示、採用ページ、印刷物といった業務用途であれば、追加料金なしでお使いいただけます。ただし、掲載してよい内容かどうかの判断はこれとは別の話なので、そこは医療機関側でご確認ください。権利の所在そのものの整理は撮影データの著作権は誰のものかに書いています。
発注書や契約書に書いておく項目は撮影の発注書・契約書に書く項目とテンプレートにまとめました。クリニックでは、これに加えて秘密保持の取り決めを交わしておくのが実務的です。院内で見聞きした内容を外に出さないという一点だけでも、書面にしておく意味があります。撮影費用を院内で説明する材料が要る場合は社内の稟議を通すための「撮影費用」の説明の仕方をご覧ください。
ご相談は見積りフォーム(https://photo-jellish.jp/business/contact/)またはメール(contact@firstbreak.jp)でお受けしています。お電話は045-232-4837(土日祝を除く9:00〜17:00)ですが、撮影内容の整理が要る場合はフォームからのご相談のほうが、こちらで準備したうえでお返しできます。
まとめ|規制の判断はクリニック側、撮影側は素材と当日を引き受ける
クリニックの撮影は、規制の判断と撮影の実務を分けると進みます。医療広告に当たるかどうか、掲載してよいかどうかを決めるのは、医療機関側の広告審査と、所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口、必要に応じて顧問弁護士です。撮影側がその判断を代わりに行うことはありませんし、行うべきでもありません。
撮影側が引き受けるのは、判断ができる状態の素材を用意することと、当日の実務です。患者さんが写り込まない時間帯と動線を組む、電子カルテのモニターや予約表を先に外す、指示された立入区域の中だけで撮る、診療を止めない時間割を作る。この部分は、撮影を手配してきた側として言い切れる領域です。
そして診療風景は、実際の患者さんではなく、スタッフか手配したモデルによる再現で撮ります。時間を選べて、撮り直せて、構図を作れて、同意の問題が起きない。この4つが同時に成立するのは再現だけです。撮影の枠は休診日の半日に収める設計が現実的で、施設とスタッフと再現カットを一度に揃えられます。出口を決め、確認が要る項目を先に回し、休診日に一気に撮る。この順番で進めてください。
この記事の次に読むと、判断が一段進みます
- 写る人の同意書を誰がどう用意するか整理したいとき:モデルリリース(肖像権同意書)は誰が用意するのか
- スタッフの人数が多く、まとめて撮る段取りが要るとき:100人規模の社員写真を揃える進め方
- 開院や新しい設備をリリースで発表するとき:プレスリリースに載る写真の条件
- 外注の手続きと秘密保持を整えたいとき:反社チェック・秘密保持、撮影外注のコンプライアンス実務
撮影日の候補がまだ決まっていない段階でも、ご相談をお持ちください。診療科と院内で撮りたい場所、スタッフの人数、写真を使う予定の場所、休診日の曜日をお知らせいただければ、必要な撮影枠と総額、当日の時間割の案、前日までに院内で片付けておく項目の一覧をまとめてお返しします。医療機関側で先に確認しておいたほうがよい項目も、撮るカットに紐づけて書き出します。掲載してよいかどうかの判断は、そのうえで院の広告審査と所管の窓口にお回しください。
よくある質問
治療前後の写真や患者さんの体験談は、クリニックのサイトに載せられますか
掲載の可否は、この記事では判断できません。医療広告に関する規制では、治療の内容や効果に関する体験談、治療前後の写真の取り扱いについて定めがあるとされており、掲載できる条件についても細かく整理されているとされています。該当するかどうかと、どのような条件が必要かは、所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口へのご確認と、医療機関側の広告審査・顧問弁護士のご確認によります。撮影側としてできるのは、掲載の判断がどちらに転んでも困らない形で素材を用意することです。具体的には、撮影日・撮影条件・同意の有無を記録に残し、判断に必要な情報を添えて納品します。判断が出る前に撮ってしまうと、撮り直しか使えないかのどちらかになるので、確認を先に回してください。
診療風景は、実際の患者さんで撮らないといけませんか
いいえ。院内のスタッフか、手配したモデルに患者役を務めてもらう再現カットで撮るのが実務の解です。実際の診療の場に撮影者が入ると、診療を妨げることと、写る方の同意の問題の両方が発生します。再現で撮れば、時間を選べて、何度でも撮り直せて、構図を作れます。演者は、受付や案内の場面ならスタッフ、小児科や高齢の患者さんの場面などスタッフでは年齢層が合わない場合はご家族・知人か手配したモデルという分け方が現実的です。再現であることを示す表記を添えるかどうかと、その書き方については、医療機関側でご判断ください。
撮影は休診日でないとできませんか
休診日、診療時間外(早朝・夜間)、昼休みの3つから選べます。施設一式とスタッフ写真をまとめて揃えるなら休診日の枠、院長のプロフィール中心なら診療時間外でも足ります。昼休みは実質1時間前後しか取れないので、スタッフの入れ替わりに伴う個人写真の追加や、1カットだけの撮り直しに向きます。診療中の時間帯に院内を撮るのは、患者さんの写り込みと診療の妨げの両面から避けています。費用は拘束時間で決まるため、休診日の半日枠にまとめて入れる設計が、いちばん収まりがよくなります。
電子カルテの画面や書類が写り込んでしまった写真は、あとから修整できますか
修整自体はできますが、撮影時に写り込ませないほうが確実です。写り込みが1枚だけなら処理できますが、同じ部屋のカット全体に及ぶと工数が乗りますし、小さく写った箇所を見落とすリスクが残ります。撮影前に、撮る部屋の机上を空にし、モニターをログアウトまたは消灯し、予約表やホワイトボードを外しておいてください。前日の終業後に済ませておくと、当日の時間をまるごと撮影に使えます。撮影者側も、部屋に入った時点で紙とモニターと掲示物を確認してからカメラを構える進行にしています。
医療広告の規制に詳しいカメラマンを手配してもらえますか
規制の判断をお預かりすることはできません。ある表示が広告に当たるか、掲載してよいかは、所管の保健所・自治体の医療広告担当窓口と、医療機関側の広告審査・顧問弁護士のご確認によるもので、撮影会社が請け合う話ではないと考えています。お引き受けするのは、院内での撮影経験があり、立入区域や感染対策の指示に従える撮影者をアサインすること、患者さんが写り込まない進行を組むこと、そして掲載の判断に関わりそうなカットを打ち合わせの段階で洗い出してお返しすることです。確認の順番と期限を整理するところまではお手伝いできます。
