オウンドメディアの記事用写真、内製と外注の分岐点|4つの調達手段の使い分け

オウンドメディアの記事用写真を内製にするか外注にするかは、写真の出来では決まりません。分岐点は2つだけです。その画像が自社の実在性を示す必要があるか、そしてその画像を何回使い回すか。概念図や比喩イメージは内製で足り、自社の人・場所・製品が写る画像は外注に倒す。判断はこの順番でつきます。

目次

結論|分岐点は「写真の出来」ではなく、実在性が要るかと使い回す回数

OWNED MEDIA PHOTO

オウンドメディアの記事用写真として使う、社員が働く様子を撮影している職場風景のイメージカット

オウンドメディアを回している担当者の方から、画像についてのご相談をいただくことがあります。内容はだいたい同じで、「記事は書けるけれど、載せる画像をどうするかが毎回決まらない」というものです。ストック写真を買うのか、社内で撮るのか、生成AIで作るのか、プロに頼むのか。記事ごとにその場で決めていて、気づくとほとんどの記事がストック写真になっている、という状態です。

これは担当者の判断が悪いわけではありません。判断軸がないからです。画像の調達手段は4つあるのに、その4つを同じ物差しで比べた資料が社内にない。だから毎回ゼロから考えることになり、考えるコストを避けて既定値(多くの会社ではストック写真)に落ちます。既定値そのものは悪くありませんが、既定値しかない状態は困ります。

この記事で扱うのは、判断軸の話だけです。良い写真の撮り方は書きません。オウンドメディアのSEO設計も書きません。記事1本ごとに発生する「この画像はどの手段で用意するのか」という問いに、その場しのぎではなく型で答えられる状態を作ることだけを目的にしています。

結論を先に書きます。分岐点は「その画像が自社の実在性を示す必要があるか」と「その画像を何回・いくつの媒体で使い回すか」の2軸です。この2つが両方とも高い画像は外注に倒す。両方とも低い画像は内製で足りる。片方だけ高い場合の扱いは記事の後半で表にします。写真の出来は分岐点になりません。出来は、外注に倒すと決めた後に考えることです。

先にお断りしておくことが2つあります。1つは、この記事では「ストック写真を使うと直帰率が上がる」「一次写真に替えると流入が増える」といった効果の数値を書かないことです。手元にその数字がないからで、書けないものを書いてしまうと判断軸として使えなくなります。代わりに、何が起きるのかという仕組みのほうを書きます。もう1つは、生成AI画像の著作権や肖像権について、法的な解釈を示さないことです。最終的な判断は、自社の法務部門または顧問弁護士のご確認によってください。

オウンドメディアの画像は、4つの調達手段のどれかで賄われている

オウンドメディアに載せる画像の調達手段は、実質4つしかありません。ストック写真、社内での自前撮影、生成AI画像、プロへの外注です。記事ごとに違うやり方をしているつもりでも、選んでいるのはこの4つのどれかです。まずこの4つを同じ物差しに乗せるところから始めます。

同じ物差しというのは、「向く用途」「向かない用途」「隠れコスト」「リスク」の4項目で並べるという意味です。金額だけで並べるとストックと社内撮影が有利に見えますが、この2つは金額に出ないコストが大きい手段です。逆に外注は金額が最も見えやすい手段で、そのぶん高く感じられます。見えているものと見えていないものを揃えないと比較になりません。

4つの手段を、同じ物差しで並べる

次の表が、4つの調達手段の比較です。この表は「どれが優れているか」を示すものではありません。手段ごとに得意な領域がはっきり分かれているので、記事の中の画像を役割ごとにこの表へ当てはめる、という使い方をしてください。

調達手段向く用途向かない用途隠れコスト主なリスク
ストック写真概念や気分を伝える挿絵、業界一般の情景、本文の理解を助けるだけの背景画像自社の人・場所・製品が主語になる画像、一次情報であることが価値になる画像探す時間。1本の記事に数枚入れるだけでも、条件に合う絵を探す作業は担当者の工数として消える。ライセンス条件の確認、年間契約料競合他社の記事と同じ絵になる。人物の服装や職場の様子が本文の説明とずれる。ライセンスの範囲外で使ってしまう
社内での自前撮影スクリーンショット、手順の作業カット、社内の様子の速報、その回限りの時事ネタ顔が出る人物カット、色が意味を持つ製品画像、長く使い続ける看板画像撮影役になる社員の時間と、撮り直しの時間。機材と場所の確保。撮ったデータの整理と保管記事ごとに明るさと色がばらつき、メディア全体の印象が揃わない。社員の同意の範囲が曖昧なまま公開される
生成AI画像概念図の下地、比喩的な挿絵、実在しないものを描く必要がある抽象的なイメージ自社製品、実在の人物、実在の場所、数値や固有名詞が入る説明図狙った絵が出るまでの試行時間。細部の破綻を探して直す時間。利用するサービスの規約確認細部が事実と食い違う(指・文字・機材・建物)。権利まわりの判断が自社側に残る。生成物だと明示しないまま使い、読者の信頼を損ねる
プロへの外注自社の人・場所・製品、顔が出る人物カット、複数記事と他媒体で使い回す画像その記事1本で捨てる画像、概念図、画面のスクリーンショット日程調整と被写体の拘束時間。必要なカットを事前に決める作業(手配会社が担当する場合もある)用途を伝えずに撮ると、後から足りないカットが出る。権利の取り決めを曖昧にすると、他媒体への転用で止まる

表を見ると分かるとおり、4つの手段は競合していません。それぞれ得意な領域が違うので、「どれか1つに決める」という問いの立て方自体が成立しません。決めるべきは手段ではなく、記事の中のどの画像をどの手段に割り当てるかという配分です。

金額の差より、探す時間の差が大きい

ストック写真と社内撮影が「安い」と見えるのは、支出として計上される金額が小さいからです。実際にかかっているのは時間で、こちらは会計上どこにも出てきません。条件に合う1枚を探して見つからず、妥協した絵を選んで、記事の公開後に「やっぱり違う」と差し替える。この往復が、記事を出すたびに起きます。

社内撮影も同じ構造です。カメラを持つ社員の時給は撮影費として計上されませんが、その人が本来の仕事を止めていることに変わりはありません。加えて、撮った写真が使えなかったときの撮り直しは、最初の撮影と同じ時間をもう一度使います。撮影の巧拙ではなく、単純に工程が2周するという意味でのコストです。

外注が高く見えるのは、金額がひとかたまりで請求書に出るからです。企業撮影の費用が何で構成されているかは企業撮影の相場を、内訳まで全部公開するに書きました。撮影費を支出としてではなく、複数の記事と媒体で使い回す資産として見る考え方は撮影費を「経費」ではなく「投資」に変える考え方に整理しています。オウンドメディアの画像は、この「使い回す資産」の性格が特に強い領域です。

「とりあえずストック」が続いてしまう理由

判断軸がないと、人は既定値を選びます。オウンドメディアの画像における既定値は、多くの会社でストック写真です。すでに契約があり、記事を書いた本人がその場で完結でき、誰の許可も要らないからです。この3つが揃っている手段は他にありません。

問題は、既定値が「全部」になっていくことです。本来は外注に倒すべき画像まで既定値で処理されると、記事は公開できるのに、その記事から自社が見えないという状態になります。しかもこの状態は記事単位では問題として認識されにくく、100本たまってから「うちのメディア、どの記事も他社と同じ絵だな」と気づきます。

ですので、軸は記事を書き始める前に決めておくものです。記事ごとに考えると既定値に落ちます。次の章で示す2軸は、記事の企画段階で1分あれば判定できるように作っています。

分岐点は2つ|その画像に実在性が要るか、何回使い回すか

内製と外注の分岐は、「その画像が自社の実在性を示す必要があるか」と「その画像を何回・いくつの媒体で使い回すか」の2軸で決まります。写真の出来は軸になりません。出来のよい写真が要る場面と、内製で足りる場面を分けているのは、この2つだからです。

軸1:その画像は、自社が実在することを示す必要があるか

実在性を示す必要がある画像とは、読者が「この会社は本当にこれをやっているのか」を確かめる材料になる画像です。自社のオフィス、働いている社員、扱っている製品、作業している現場、代表や責任者の顔。これらは、写っていること自体が情報になります。

逆に、実在性を求められていない画像もあります。本文の理解を助けるためだけに置かれている概念図や、章の切れ目に入れる比喩的な挿絵です。これらは読者に「この会社の現場」を見せるためのものではないので、自社で撮る意味がありません。

判定の仕方は単純です。その画像を、同じテーマを扱う他社の記事にそのまま貼り替えたとき、文章として成立するかどうかを考えてください。成立するなら、その画像に実在性は要求されていません。成立しない(貼り替えると嘘になる)なら、実在性が要求されています。この1問で、記事内の画像はきれいに2つに分かれます。

軸2:その画像を、何回・いくつの媒体で使うか

2つめの軸は使い回す回数です。その記事1本で役目を終える画像なのか、他の記事、採用ページ、会社案内、営業資料、SNS、プレスリリースまで回っていく画像なのか。同じ1枚でも、使う回数が増えるほど1回あたりの負担は下がります。

ここは金額の感覚が反転しやすいところです。撮影を1枚いくらで考えると外注は高く見えますが、撮影の料金は拘束時間で決まるので、1回の撮影で押さえたカットを何回使うかによって1枚あたりの負担は変わります。カット単価という考え方が企業の撮影に合わない理由は「1カット◯円」の料金体系が企業に向かない理由に書きました。オウンドメディアの画像はまさにこの、後から何度も引き出す使い方をする領域です。

使い回すと決めたなら、権利の範囲を発注の段階で揃えておく必要があります。自社サイトに載せる権利と、他の媒体へ提供する権利は同じではありません。この区別は写真の「買い取り」「二次利用可」の意味を、企業側の言葉で説明するに整理してあります。使い回す前提の画像ほど、撮る前に決めておくことが増えます。

2軸を掛け合わせると、選ぶ手段が決まる

2つの軸を掛け合わせると4つの組み合わせができます。組み合わせごとに、選ぶべき調達手段が変わります。次の表を、記事の企画段階で画像ごとに当てはめてください。

実在性使い回し該当する画像の例選ぶ手段理由
要る複数記事・複数媒体で使う代表と社員のポートレート、オフィスと現場、自社製品、働いている様子外注(最優先で予算を置く)1回の撮影で押さえたカットが何十本の記事と他媒体へ回る。ここを削ると、メディア全体から自社が消える
要るその記事1本で終わる社内イベントの速報、当日限りの様子、その回のセミナー会場社内撮影で可(顔が大きく出るなら外注寄り)鮮度が価値なので速さが優先される。ただし人物の顔が主役になる場合は、同意と仕上がりの両面で外注のほうが後が楽になる
要らない複数記事・複数媒体で使うメディア共通の概念図、シリーズ記事で使い回す図版、カテゴリー別のアイキャッチの型内製(作図・生成AIの下地・ストック)で型を作る実在性が要らないので撮る必要がない。ただし1本ごとに作り直すと崩れるので、型として整備して使い回す
要らないその記事1本で終わる章の切れ目に入れる比喩イメージ、本文の気分を作る挿絵ストックまたは生成AIここに時間をかけても記事の価値は上がらない。探す時間の上限を決めて、超えたら妥協してよい領域

この表で最も注意していただきたいのは、左上(実在性が要る×使い回す)に予算を寄せることです。ここを削って全体に薄く配ると、どの画像も中途半端になります。逆に右下(実在性が要らない×1回で終わる)に時間をかけている会社は多く、ここは意識して手を抜いてよい領域です。

外注に倒すべき画像の4条件

次の4条件のどれかに当てはまる画像は、外注に倒したほうが結果的に安く済みます。自社の人・場所・製品が写る、一次情報であることが記事の価値になる、複数記事と他媒体で使い回す、人物の顔が出る。この4つです。逆に言えば、4つのどれにも当てはまらない画像を外注しても、費用対効果は出ません。

条件1|自社の人・場所・製品が写る

自社の人・場所・製品が写る画像は、代わりが利きません。ストック写真で似た絵を探すことはできますが、それは「似た絵」であって自社ではないので、記事が主張していることの裏付けにはなりません。ここが内製と外注の分岐で最も分かりやすい線です。

製品が写る画像には、もう1つ固有の事情があります。色と質感が実物とずれると、記事が誤情報を含むことになるからです。白背景の単体カットとイメージカットの使い分けはEC商品撮影の白背景とイメージカット、どう使い分けるかに書きました。オウンドメディアの記事でも、製品の説明をする回では同じ考え方が要ります。

条件2|一次情報であることが、その記事の価値になる

自社で調べたこと、自社でやってみたこと、自社の現場でしか撮れないもの。こうした一次情報を扱う記事では、画像そのものが「本当にやった」ことの証拠になります。ここにストック写真を置くと、文章の主張と画像が食い違います。読者は文章より先に画像を見るので、この食い違いは思ったより早く伝わります。

一次情報を扱う記事は、そもそも書くのに手間がかかっています。取材をして、数字を集めて、社内の許可を取って公開している。そこまでやった記事の画像だけがどこかで見た絵になっているのは、投資の配分として不自然です。手間をかけた記事ほど、画像も一次のものにするというのが素直な配分になります。

条件3|複数記事と他媒体で使い回す

使い回す予定がある画像は、外注に倒す価値が高くなります。オウンドメディア用に撮った写真は、そのまま採用ページ、会社案内、営業資料、プレスリリースへ回せるからです。用途が増えるほど、1回の撮影の元が取れます。

実際、回る先はかなり広いです。採用ページの写真が応募にどう効くのかは採用サイトの写真で、応募数は本当に変わるのかに書きました。報道機関へ提供する写真の条件はプレスリリースに載る写真の条件に整理しています。展示会で撮った写真を翌年まで使う設計は展示会ブースの撮影を、翌年の集客資産に変える方法にあります。オウンドメディアの画像は、これらの中心に置ける素材です。

条件4|人物の顔が出る

人物の顔が出る画像は、仕上がりと手続きの両方で外注に倒す理由があります。仕上がりの面では、顔は少しの光の差で印象が変わるため、社内撮影で品質を揃えるのが最も難しい被写体です。手続きの面では、公開範囲についての同意を取る必要があり、その整理を撮影の前に済ませておく必要があります。

同意書(モデルリリース)を誰がどう用意するのかはモデルリリース(肖像権同意書)は誰が用意するのかにまとめました。社員が写る画像をオウンドメディアに載せる場合、社内向けの掲載と社外向けの掲載では同意の範囲が違うことがあります。退職した社員の写真をいつまで使うのかという論点も、この段階で決めておくと後が楽です。

次の表は、4条件を「内製で通したときに何が起きるか」まで含めて整理したものです。判断に迷ったときは、右の列を見てください。

外注に倒す条件該当する画像内製で通したときに起きること外注で解けること
自社の人・場所・製品が写る社員の働く様子、オフィスと現場、自社製品、店舗の内外観ストックで代用すると記事から自社が消える。社内撮影だと記事ごとに色と明るさがばらつく同じ条件で撮ったカットが揃うので、記事をまたいでメディアの見た目が一定になる
一次情報が記事の価値になる自社調査のレポート記事、現場ルポ、導入事例、検証してみた系の記事文章は一次情報なのに画像は既製品という食い違いが出る。読者が最初に見るのは画像のほう本文が主張していることと画像が一致する。記事の主張を画像が裏づける状態になる
複数記事と他媒体で使い回す代表・役員のポートレート、会社の看板になる職場カット、主力製品1本ごとに探す・撮るを繰り返すため、使い回しが起きず毎回コストが発生する1回の撮影枠で押さえたカットを、記事・採用・資料・報道提供へ回せる。権利の範囲も1回の発注で揃う
人物の顔が出るインタビュー記事、社員紹介、代表のコラム、対談記事顔の写り方が揃わない。同意の範囲が曖昧なまま公開され、後から差し替えが必要になる光と表情の条件を揃えて撮れる。同意の範囲を発注の段階で決められる

人が写る画像の同意について

この記事では、肖像権や個人情報の取り扱いについて法的な解釈を示すことはできません。同意をどの範囲で取るべきか、退職後の掲載をどう扱うか、写り込んだ第三者をどう扱うかといった判断は、社内規程と具体的な状況によって変わります。最終的な判断は、自社の法務部門または顧問弁護士のご確認によってください。実務としては、撮影を発注する段階で「オウンドメディアに掲載し、採用ページと営業資料にも転用する予定がある」と用途を先に伝え、その前提で同意の範囲と発注条件を決めておくのが、後の確認を減らす方法です。発注書や契約書に書いておく項目は撮影の発注書・契約書に書く項目とテンプレートにまとめてあります。

内製で十分な画像の条件

内製で足りる画像もはっきりしています。概念図、比喩イメージ、スクリーンショット、手順の作業カット、使い捨ての時事ネタ。この5つは、外注してもほとんど価値が上がりません。むしろ外注すると、修正のたびに時間がかかるという逆方向のコストが出ます。

概念図と比喩イメージ

概念図は、内容を理解している人が作るのが最短です。図の良し悪しは絵のうまさではなく、要素の並べ方と情報の取捨で決まるので、記事を書いた人が作るのが最も精度が出ます。見た目を整えるだけなら、社内のテンプレートを1つ作っておけば足ります。

比喩イメージも内製で足ります。ここでいう内製には、ストック写真を選ぶことと、生成AIで作ることの両方を含みます。この領域の画像は、記事の価値に対する寄与が小さいので、探す時間の上限をあらかじめ決めておくことをおすすめします。記事1本あたり何分まで、と決めておかないと、いちばん価値の低い画像にいちばん時間を使う状態になります。

スクリーンショットと画面キャプチャ

画面のキャプチャは内製一択です。外注する意味がありません。注意するのは撮影の質ではなく中身で、キャプチャに実在の個人情報や取引先名が入っていないかを確認してください。テスト環境のダミーデータに、実在の社員名や顧客名がそのまま入っていることがあります。

もう1つ、画面キャプチャは古くなるのが早い画像です。UIが変わると記事の説明と合わなくなるので、差し替えを前提に運用します。差し替えが前提である以上、外注に出す手段は現実的ではありません。

手順の作業カット

手順を説明する記事の作業カット(手元、道具、工程の途中)は、スマートフォンでも成立することが多い画像です。この種のカットで求められているのは「何をどうしているかが分かること」であって、絵としての完成度ではないからです。三脚に固定して、明るい場所で、同じ角度から順番に撮るだけで実用になります。

ただし、手順の記事でも冒頭のアイキャッチだけは扱いが違います。アイキャッチは記事一覧とSNSに出るので、メディアの顔として機能する画像です。ここは後述の表で外注寄りに振り分けています。

使い捨ての時事ネタ

その週限りの話題、社内イベントの速報、展示会に出展した当日の様子。鮮度が価値になる画像は、速さが品質に優先します。撮影を手配していたら間に合わないので、その場にいる人が撮るのが正解です。

この場合も、後から使い回す可能性がある画像だけは別に考えてください。展示会の様子は速報としては使い捨てですが、翌年の集客資料としては資産になります。同じイベントでも、速報用は社内撮影、資産用は外注という分け方が成立します。

ここまでの内容を、記事の中での画像の役割ごとに振り分けた対応表が次のものです。オウンドメディアの1記事に出てくる画像は、だいたいこの11種類のどれかに収まります。

記事内での役割具体例推奨する調達手段理由と注意点
アイキャッチ(記事の顔)記事一覧・SNSカードに出る1枚外注寄り(自社が写る記事)/内製で型を作る(概念系の記事)メディア全体の印象を決める位置。カテゴリーごとに型を決めて、型の中で外注カットを差し込む形にすると量産に耐える
自社の人物代表、役員、社員、インタビュー相手外注顔は光で印象が変わるため品質を揃えにくい。同意の範囲も先に決める必要がある。社長・役員のプロフィール写真、失敗しないための全知識を参照
自社の場所オフィス、店舗、工場、倉庫、現場外注広い空間は光の条件が難しく、内製で撮ると狭く暗く写る。一度撮れば数年使えるので使い回しの回数が多い
自社の製品・商品白背景の単体カット、使用シーン外注色と質感が記事の内容に直結する。白背景の切り抜き用途があるなら撮影時の条件が変わるので先に伝える
顧客・導入先の現場導入事例記事の現場カット外注先方の敷地で撮るため撮り直しができない。掲載範囲の同意を先方と取り交わす必要がある
概念図・構造の説明図仕組み図、フロー図、関係図内製(作図)内容を理解している人が作るのが最短。テンプレートを1つ作って使い回す
数値入りの比較図・グラフ料金比較表、推移グラフ内製(作図)数字が入る図は生成AIに向かない。文字と数値が崩れるため、作図ツールで作る
比喩イメージ・挿絵章の切れ目、気分を作る画像ストックまたは生成AI記事の価値への寄与が小さい。探す時間の上限を決めておく。生成AIの場合は明示する
スクリーンショット操作画面、管理画面、レポート画面内製外注する意味がない。実在の個人情報・取引先名が写り込んでいないか確認する。UI変更で古くなる前提で運用する
手順の作業カット手元、道具、工程の途中内製何をしているかが分かれば足りる。三脚固定・同じ角度・明るい場所の3点で実用になる
時事・速報イベント当日、社内の出来事内製鮮度が価値。ただし翌年以降も使う予定があるカットだけは外注枠に分ける

この表を、記事の企画テンプレートに貼り付けて使ってください。企画の段階で「この記事に要る画像は、役割でいうとどれか」を書き出しておけば、調達手段は自動的に決まります。記事を書き終わってから画像を考えるという順番をやめるだけで、判断のブレはかなり減ります。

ストック写真だけで組んだ記事に、構造として何が起きるか

ストック写真だけで記事を組んだ場合に起きることを、3つに分けて書きます。ここで数値は出しません。「ストック写真だと成果が◯%下がる」といった数字を私は持っておらず、持っていないものを書くと判断軸として使えなくなるからです。代わりに、何がどういう仕組みで起きるかを書きます。

他社と同じ絵が並ぶ

ストック写真は、同じサービスを使っている他社も同じ条件で検索します。「会議」「握手」「オフィス」といった一般的な語で探すと、上位に出てくる絵は誰が探してもほぼ同じになります。結果として、同じ業界の記事に同じ人物が写っているという状態が起きます。これは確率の問題なので、探し方を工夫しても避けきれません。

この状態そのものが直ちに不利益になるとは言いません。ただ、記事の内容で差別化しようとしている会社が、画像だけ他社と共通という構造を抱えることになります。読者が複数社の記事を見比べる場面では、この共通部分が「どこも同じことを言っている」という印象を補強します。

実在性が伝わらない

2つめは、記事から自社が見えなくなることです。オウンドメディアは、記事の内容で信頼を得て、最終的に「この会社に頼もう」と思ってもらうための仕組みです。その過程で読者が確かめたいことの1つが、この会社が実在して、実際にその仕事をしているかどうかです。

ストック写真は、この問いに答えません。答えないだけで、嘘をついているわけではないので、問題として表面化しにくいのが厄介なところです。記事を100本書いても、その100本のどこにも自社の実物が出てこないという状態は、意図せず作られます。

AIが要約する時代に、一次情報として拾われにくい

3つめは、検索結果がAIによって要約される場面が増えていることと関係します。要約される過程で残るのは、その記事にしか書かれていない内容です。他所にも書いてある一般論は、要約の中で他の記事の内容と区別されません。

画像も同じ構造の中にあります。自社の現場を撮った写真、自社製品の実物、自社で測ったものの記録は、その記事だけが持っている材料です。ストック写真は、定義上その記事だけが持っている材料ではありません。ここで申し上げているのは「一次情報を含む記事は評価される」という断定ではなく、その記事にしかないものを増やすほうが、要約される場面では分が悪くならない、という構造の話です。

すでに公開した記事は、どこから手を付けるか

すでに公開済みの記事が何十本もあり、そのほとんどがストック写真という状態からでも、やることは変わりません。過去記事を全部差し替える必要はなく、順番を決めて上から直していくだけです。差し替えの優先順位は、流入の多い記事、会社の入口になっている記事(サービス紹介に近いもの)、営業が商談で見せている記事、この3つからです。

実務上おすすめなのは、過去記事の差し替えを単独の作業にしないことです。これから公開する記事のために撮影日を置き、その同じ枠で、優先順位の高い過去記事に使うカットも一緒に押さえる。撮影の料金は拘束時間で決まるので、撮るものが増えても枠の中に収まれば費用は変わりません。過去記事のリライトを理由に撮影を組むのは通しにくくても、新規記事の撮影に相乗りする形なら通しやすいはずです。

残りの記事は、無理に差し替えず既定値のままで構いません。全記事を一次の写真にすることが目的ではなく、自社を見せるべき記事に自社が写っている状態を作ることが目的だからです。どの記事がそれに当たるかは、この記事の前半の2軸でそのまま判定できます。

効果の数値を書かない理由

「写真を一次のものに替えたら数字がこれだけ変わった」という形の数値は、この記事では出しません。撮影以外の要素(記事の内容、公開時期、導線、検索の状況)が同時に動いているため、写真だけを取り出して効果を切り分けることが実務上できないからです。数字を出すこと自体は簡単ですが、その数字を根拠に判断すると、読者側で再現しないときに責任の持ちようがありません。この記事で示しているのは、確実に起きる構造(他社と同じ絵になる/自社が写らない/その記事だけの材料が増えない)のほうです。

生成AI画像をオウンドメディアで使うときの整理

生成AI画像は、4つの調達手段の中で最も新しく、社内のルールが追いついていない領域です。使ってよいかどうかを一般論で決めるのは難しいので、ここでは「記事側でどう扱うか」「権利の考え方をどこまで自社で持つか」「何に向かないか」の3点に分けて整理します。法的な判断は示しません。

記事側で明示する

生成AIで作った画像を記事に載せるなら、キャプションで生成物であることを示してください。「イメージ(AI生成)」のように、画像のすぐ下に短く添える形で足ります。実写と生成物が同じ記事に混在するときは、実写側にはキャプションを付けず、生成物側にだけ付けると区別がはっきりします。

明示する理由は、読者が記事を一次情報として読むかどうかの判断材料になるからです。自社の現場を撮った写真と、それらしく作った画像が同じ扱いで並んでいると、記事全体の信頼が曖昧になります。明示すること自体は減点ではなく、むしろ実写の価値を守る作業です。

権利の考え方は、自社のルールとして先に決める

生成AI画像の権利関係については、この記事で断定できることがありません。利用するサービスの規約、生成物の内容、公開の仕方によって扱いが変わります。記事側でできるのは、判断そのものではなく、判断に必要な材料を揃えておくことです。

実務としては、使うサービスを1つか2つに絞り、その規約を法務に一度確認してもらい、社内ルールとして文書化する形がいちばん運用に乗ります。記事ごとに担当者が判断する運用にすると、判断がばらつき、後から全記事を点検する羽目になります。写真一般の権利の考え方は撮影データの著作権は誰のものか|企業が誤解している3点に書いていますので、撮影した写真と生成物で扱いがどう違うのかを整理する材料にしてください。

生成AI画像が向かない対象

向き不向きははっきりしています。実在するもの(自社製品、実在の人物、実在の場所、実在の設備)を描かせるのには向きません。似ているけれど違うものが出てくるため、記事の内容と食い違います。数値や固有名詞が入る図も向きません。文字が崩れるからです。

用途生成AI画像の適否理由代わりに使う手段
章の切れ目に入れる比喩イメージ向く実在性を求められていない。抽象的な絵でよいので細部の破綻が問題になりにくい(そのまま使える。キャプションで生成物と明示する)
概念図の下地・背景素材条件付きで向く図の骨格は作図で作り、雰囲気の部分だけ生成に任せる使い方なら成立する骨格は作図ツール、下地のみ生成
自社製品の画像向かない形・色・質感が実物と違う。記事が誤った情報を含むことになる外注(白背景の単体カットと使用シーン)
自社の人物・社員向かない実在しない人物を自社の社員のように見せることになる。実在性を示す目的を果たさない外注(同意の範囲を決めたうえでの人物撮影)
実在の場所・自社のオフィスや現場向かない実際の建物や設備と一致しない。読者が来訪する可能性がある場所ではとくに問題になる外注(内外観の引きと寄り)
数値入りの比較図・グラフ向かない文字と数値が崩れる。読み取れる形にならないうえ、誤った数字が入ると記事の信頼に直接響く内製の作図(表計算・作図ツール・ベクター形式)
手順の説明図向かない工程の順番や道具の形が実際と変わる。手順記事では図が説明そのものになる内製(実際の作業カット+作図)

生成AI画像の法的な扱いについて

生成AI画像の著作権、既存の作品との類似、実在の人物に似た人物が生成された場合の肖像の扱いについて、この記事では判断を示しません。利用するサービスの規約と、公開の仕方と、生成された画像の内容によって考え方が変わるためです。最終的な判断は、自社の法務部門または顧問弁護士のご確認によってください。運用としては、使うサービスを絞り、その規約を一度法務に通し、社内ルールとして文書化しておく形をおすすめします。記事ごとの個別判断にすると、後から全記事の点検が必要になります。

撮影を1日にまとめて「記事◯本分」を確保する

外注に倒すと決めた画像は、記事ごとに都度発注しないでください。撮影の料金は拘束時間で決まるので、1記事ずつ呼ぶほど高くつきます。逆に言えば、1回の撮影枠にまとめるほど1記事あたりの負担は下がります。ここがオウンドメディアの撮影で最も効く設計です。

私が手配する側として見ていると、オウンドメディアの撮影で費用が膨らむのは、撮る枚数が多いからではありません。記事が出るたびに「今回はこのカットが足りない」と単発で呼ぶことが繰り返されるからです。同じカットを半年後にもう一度撮るというのも珍しくありません。ここは段取りで解けます。

ハーフとフル、どちらの枠で足りるか

私どもの料金は時間単位です。ハーフ(半日・4時間枠)が60,000円+税=66,000円、フル(1日・8時間枠)が120,000円+税=132,000円。標準機材(カメラ・レンズ・簡易照明)と商用利用権は基本料金に含みます。延長は30分ごと(切り上げ)で7,800円+税=8,580円です。交通費やスタジオ代などの諸経費は実費のパススルーで、こちらでの上乗せはありません。

枠の選び方は、場所の数と被写体のジャンル数で決まります。1か所で1ジャンル(たとえばオフィス内で社員の働く様子だけ)ならハーフで足ります。複数フロア、複数ジャンル(人物+場所+製品)を1日で回すならフルです。移動時間は課金しませんが、拘束はカメラマンの現地到着から撤収完了までで計測しますので、移動そのものが撮影時間を削ります。

枠時間と料金1枠で押さえられる内容の目安向くケース
ハーフ(半日)4時間枠/60,000円+税=66,000円。内訳はセッティング約30分+撮影約3時間+撤収約30分1か所・1〜2ジャンル。職場風景の引きと寄り、手元カット、打ち合わせの様子、縦位置のバリエーションまでまずは記事数本分の汎用カットを揃えたい。オフィス1フロアで完結する
フル(1日)8時間枠/120,000円+税=132,000円。内訳はセッティング約30分+撮影約7時間+撤収約30分複数フロアまたは複数拠点内の移動を含む撮影。人物+場所+製品の3ジャンルを1日で回す半年〜1年分の記事素材をまとめて確保する。採用ページや会社案内の素材も同時に押さえる
延長30分ごと(切り上げ)7,800円+税=8,580円当日その場で足りないと分かったカットの追加当日の延長はカメラマンのスケジュールによりお受けできない場合があるため、最初から枠で見ておくほうが安全
連日割連続する日程での複数日発注は、合計から一律10%オフ(飛び地=日程が離れた複数回は対象外)2日以上まとめて撮る場合の総額を下げられる拠点が複数ある、社員数が多い、製品点数が多い。日程を連続で取れる場合
人物カットの人数目安ハーフで最大20名、フルで最大40〜50名(1時間あたり6〜8名で保守的に計算)社員紹介やインタビュー記事で使う個人カット適用の条件は、進行担当者を1名配置することと、事前に撮影スロット(時間割)を作成すること

撮影スロット(誰が何時に入るかの時間割)の作成は、私どもで担当します。社員の方に順番に入っていただく形の撮影では、この時間割があるかないかで進み方がまったく変わります。人数が多い場合の回し方は社員写真を全員分そろえる|100人規模の撮影を回す時間割に書きました。

1枠で押さえておくと、あとの記事が楽になる汎用カット

撮影の当日に「どのカットを撮るか」を考え始めると、その記事に必要なカットしか撮れません。オウンドメディアの撮影では、特定の記事のためのカットに加えて、あとで何にでも使える汎用カットをまとめて押さえておくのが要点です。次の表は、1回の撮影枠で押さえておくと記事に効く汎用カットの一覧です。

カットの種類構図と向き枚数の目安どの記事に効くか撮影時の注意
働いている様子の引き横位置。人物の周囲に余白を多めに残す3〜5カット(場所違い)アイキャッチ全般、会社紹介系、働き方の記事余白は後から切れるが足せない。文字を乗せる前提で空きを残す
手元の寄り横位置と縦位置の両方。道具・書類・キーボード・製品に寄る5〜8カット手順記事、業務説明、章の区切り、本文中の挿絵画面や書類に実在の個人情報・取引先名が写り込まないようにする
打ち合わせ・会話横位置。2〜3名。顔が分かるカットと、顔が特定できない角度の両方4〜6カットチーム紹介、業務プロセス、サービス説明顔が特定できないカットを別に押さえておくと、同意の範囲が狭い場面でも使える
代表・責任者のポートレート横位置と縦位置の両方。背景に余白。表情は複数パターン1人あたり4〜6カットコラム記事、著者情報、会社紹介、報道提供、採用ページ服装と背景は数年使える中立さにする。役員プロフィール写真の考え方を先に確認しておく
社員の個人カット同一の背景・同一の光量で統一。上半身1人あたり2〜3カット社員紹介、インタビュー記事、著者情報条件を揃えることが最優先。後から1人だけ追加するときのため、設定を記録しておく
オフィス・現場の外観と内観横位置の引き。外観は看板と入口が分かる形外観2〜3、内観4〜6会社紹介、採用記事、アクセス案内、報道提供他社の看板・通行人・車のナンバーの写り込みを避ける
製品・サンプル白背景の単体カットと、使用シーンの両方1点あたり3〜5カット製品説明、比較記事、EC、営業資料切り抜きで使う予定があるなら撮影条件が変わるので先に伝える。白ホリスタジオは1時間20,000円+税=22,000円
資料・ホワイトボード・画面文字が読めない距離まで引く。手前をぼかす3〜4カット会議・企画・分析をテーマにした記事の挿絵読める距離で撮ると内容の確認が必要になる。読めないことを前提の構図にする
人が入らない場所だけのカット横位置。文字を乗せる余白を大きく取る3〜5カットアイキャッチ、バナー、資料の表紙、SNSカード人が写っていないカットは同意の確認が不要なので、差し替え用として使い勝手がよい
縦位置のバリエーション上記の主要カットを縦でも押さえる主要カットごとに1〜2SNS、スマートフォン表示、記事内の縦長スペース横位置から切って縦にすると主役が窮屈になる。撮影時に縦でも撮っておく

この表のカットを一通り押さえると、記事1本のために撮るのではなく、記事を書くたびに引き出す在庫ができます。在庫がある状態で記事を書くと、画像を探す時間がほぼゼロになります。オウンドメディアの運用でいちばん効くのは、実はこの「探さなくてよくなる」という効果です。

予算の規模ごとに何ができるかは予算10万円/30万円/100万円でできる撮影の違いに書きました。年間で撮影を発注する場合のまとめ方は年間で撮影を発注する企業のコスト最適化パターンに整理しています。コーポレートサイトの写真を撮り直す時期とオウンドメディアの撮影日を重ねると、1回の撮影枠で両方の素材が揃います。撮り直しの判断時期はコーポレートサイトの写真を撮り直すべきタイミングをご覧ください。

どの画像を外注に回すかがまだ決まっていない状態で、ご相談いただいて構いません。今後3〜6か月で公開予定の記事のテーマ(ざっくりで足ります)、撮影できる場所、写っていただける方の人数、公開先(オウンドメディアのほかに採用ページや資料にも使うかどうか)をお知らせいただければ、押さえておくべきカットの一覧、ハーフとフルのどちらの枠で足りるか、連日割が使えるかどうか、そして総額を書き出してお返しします。記事カレンダーがまだ固まっていない段階でも、カットの一覧だけ先にお出しできます。

年間の運用に落とす|記事カレンダーから撮影日を逆算する

ここまでの判断軸を、年間の運用手順に落とします。やることは、記事カレンダーから逆算して撮影日を置くこと、それだけです。7つのステップに分けました。1回作れば、次の期からは同じ形を繰り返すだけになります。

STEP

記事カレンダーを3〜6か月分並べる

公開予定の記事を3〜6か月分、一覧にします。タイトルが確定していなくても、テーマと種別(解説記事・事例記事・手順記事・インタビューなど)が分かれば足ります。画像の設計は記事1本ずつではなく、この期間の束で考えます。束にしないと、まとめ撮りという選択肢自体が発生しません。

STEP

記事ごとに必要な画像を「役割」で書き出す

1本の記事につき、必要な画像を役割の名前で書き出します。「アイキャッチ」「自社の人物」「概念図」「スクリーンショット」のように、この記事の対応表にある11種類の言葉を使ってください。何枚要るかではなく、どの役割が要るかで書き出すのが要点です。ここで具体的な絵を想像し始めると手が止まるので、役割の名前だけで進めます。

STEP

2軸で内製と外注に振り分ける

書き出した役割を、実在性が要るかどうかと、使い回す回数の2軸で振り分けます。判定に迷ったら、「その画像を他社の記事に貼り替えても文章が成立するか」を考えてください。成立するなら内製側、成立しないなら外注側です。この段階で、3〜6か月分の外注対象が1つのリストになります。多くの場合、想像していたより少ない枚数に収まります。

STEP

外注分を、被写体と場所でまとめ直す

外注リストを記事順ではなく、被写体と場所の順に並べ替えます。「この記事のこのカット」ではなく、「本社3階で撮るもの」「代表に入ってもらうもの」「製品を並べて撮るもの」という束にします。この並べ替えが、撮影を1日にまとめられるかどうかを決めます。加えて、この記事の汎用カット一覧を見て、リストに入っていない汎用カットを足してください。1枠の中で追加で押さえるだけなら、追加費用は発生しません。

STEP

用途と権利の範囲を、発注の段階で決める

撮影の前に、その写真をどこまで使うかを決めておきます。オウンドメディアだけなのか、採用ページ、会社案内、営業資料、報道機関への提供まで想定するのか。写る方への説明もこの範囲に合わせます。ここを曖昧にしたまま撮ると、使いたい場面で使えないという形で止まります。最終的な判断は自社の法務部門または顧問弁護士のご確認によりますが、確認すべき項目を先に洗い出しておくだけでも、進み方が変わります。

STEP

撮影日を置き、枠と連日割を決める

まとめ直した束をもとに、撮影日と枠を決めます。1か所・1〜2ジャンルならハーフ(4時間枠)、複数フロアや複数ジャンルならフル(8時間枠)が目安です。拠点が複数ある場合は、日程を連続で取れるかを確認してください。連続する日程での複数日発注には、合計から一律10%の連日割が適用されます(日程が離れた飛び地の複数回は対象外です)。人物が入る撮影では、被写体になる方の予定を先に押さえるのが順番です。

STEP

納品後、役割名で保管して次の記事から引ける状態にする

納品されたデータを、撮影日ではなく役割名のフォルダで保管します。「働く様子_引き」「手元_寄り」「代表_横」のように、ステップ2で使った言葉と同じ名前にしてください。記事を書く人が探す言葉と、保管の言葉が一致していないと、在庫があるのに使われないという状態になります。納期の目安は、少量(〜数十カット)が即日から翌営業日、大量のポートレート(数十名〜)が5〜7営業日です。特急納品はオプションとしてご用意しています。

この7ステップのうち、時間がかかるのはステップ1からステップ4までの机上の作業です。ここに半日かけておくと、そのあとの半年間は画像を探す作業がほとんどなくなります。逆にここを飛ばして撮影日だけ決めると、当日に「何を撮るんでしたっけ」から始まるので、枠の半分が打ち合わせで消えます。

内製と外注の分岐を判定するチェックリスト

記事の企画段階で、画像1点ごとに通すチェックリストです。上から5項目までが分岐の判定、それ以降が外注に倒すと決めたあとの確認項目になります。上5つのうち2つ以上に「はい」が付いたら、外注側に寄せてください。

  • この画像には、自社の人・場所・製品のいずれかが写る
  • この画像を他社の記事に貼り替えると、文章として成立しなくなる
  • この画像は、その記事だけでなく他の記事や他の媒体でも使う予定がある
  • この画像には、人物の顔が判別できる形で写る
  • この記事は一次情報を扱っており、画像がその裏づけになる
  • 逆に、概念図・比喩イメージ・スクリーンショット・手順の作業カット・使い捨ての時事ネタに当てはまる画像を、外注リストから外した
  • 外注対象の画像を、記事順ではなく被写体と場所の順にまとめ直した
  • 汎用カット(働く様子の引き・手元の寄り・打ち合わせ・ポートレート・外観内観・縦位置)を撮影リストに足した
  • 文字を乗せる前提の、余白の大きいカットを1点以上リストに入れた
  • 写真の使用範囲(オウンドメディア/採用/資料/報道提供)を決めた
  • 写る方への説明と同意の範囲を、その使用範囲に合わせて用意した
  • 撮影場所の片付け(他社ロゴ・社外秘の書類・モニターの表示)の担当を決めた
  • 1か所か複数か、1ジャンルか複数かで、ハーフとフルのどちらの枠かを決めた
  • 複数日になる場合、日程を連続で取れるか(連日割の対象になるか)を確認した
  • 生成AI画像を使う場合、キャプションでの明示のルールを社内で決めた
  • 納品後のデータを、役割名で保管する場所を用意した
  • 記事の公開スケジュールから逆算して、撮影日の締切を出した
  • 公開済みの記事のうち、差し替えの優先順位が高いもの(流入が多い・会社の入口になっている・商談で見せている)を選び、同じ撮影枠に相乗りさせた

撮影を外部に発注するとき全般の確認項目は撮影を外注する前に確認すべきチェックリスト20項目にまとめてあります。上のリストはオウンドメディア運用に固有の項目に絞っているので、撮影の外注そのものが初めてであれば、両方を通すと抜けが減ります。

なお、外注先をどう選ぶかは別の論点です。私がカメラマンを選ぶときに機材や実績より人柄を重く見ている理由はなぜ「人柄」を機材や実績より重く見るのかに書きました。オフィスで社員の方に入っていただく撮影は、技術よりも場の作り方で結果が変わるので、この観点はオウンドメディアの撮影とは相性がよいはずです。

日本プロカメラマン手配の場合|オウンドメディアの撮影をどう組むか

日本プロカメラマン手配は、企業専門のカメラマン手配サービスです。運営は株式会社ファーストブレイク(横浜市中区相生町3-60 泰生ビル308)で、私(代表・宮崎大地)は元カメラマンです。2012年の創業以来、300社を超える企業の撮影に携わってきました。オウンドメディアの撮影では、人物・プロフィール撮影、オフィス・施設・職場風景撮影、商品・EC撮影のいずれか、または複数を組み合わせて承っています。

ご相談をいただいたら、まず公開予定の記事のテーマと、写真を使う先(オウンドメディアだけか、採用ページや資料にも回すか)を伺います。そこから撮影リストを組み、必要な枠と日程をお出しします。撮影スロット(時間割)の作成と、当日のディレクション、納品までは私どもで担当しますので、社内でご用意いただくのは場所と被写体の予定だけです。

登録カメラマンは全国で厳選30名程度です。案件ごとに、技術と機材だけでなく、当日の進め方や社員の方への接し方まで見てアサインしています。オフィスでの撮影は、撮られ慣れていない方に入っていただく場面が多いので、ここの相性が仕上がりに直結します。手配会社を通す費用構造についてはエージェント経由の発注は「中抜き」なのか、正面から答えるで正面から書きました。

社内で撮影費の稟議を通す必要がある場合は、記事1本あたりの負担で説明すると通りやすくなります。フル1枠(132,000円税込)で半年分の汎用カットを押さえ、その期間に20本の記事を出すなら、1本あたりの画像調達費は6,600円です。同じ素材を採用ページや営業資料にも回すなら、さらに下がります。稟議の組み立て方は社内の稟議を通すための「撮影費用」の説明の仕方に書きました。

見積りの段階で総額を明示します。標準機材と商用利用権は基本料金に含み、諸経費は実費のパススルーで上乗せはありません。撮影後に別途の請求が出ることはありません。インボイス対応(適格請求書)も可能です。ご不明な点は、見積りフォームか、メール(contact@firstbreak.jp)、電話045-232-4837(土日祝を除く9:00〜17:00)でお問い合わせください。

まとめ|画像の調達は、記事ごとではなく年単位で決める

オウンドメディアの記事用写真を内製にするか外注にするかは、写真の出来では決まりません。その画像が自社の実在性を示す必要があるか、そして何回使い回すか。この2軸で決まります。実在性が要って何度も使う画像は外注、実在性が要らず1回で終わる画像は内製。この配分を先に決めておけば、記事ごとに悩む必要がなくなります。

ストック写真も生成AI画像も、使ってはいけないものではありません。向く場所に使えば、探す時間も作る時間も節約できる手段です。問題は、向かない場所(自社の人・場所・製品、一次情報の裏づけ)まで既定値で処理してしまうことのほうです。既定値を持つこと自体は運用として正しく、既定値しか持たないことが困るという話でした。

そして、外注に倒すと決めた画像は、記事ごとに単発で頼まないでください。撮影の料金は拘束時間で決まるので、記事カレンダーから逆算して1日にまとめるだけで、1記事あたりの負担は大きく下がります。半年分の汎用カットを1枠で押さえておけば、そのあとは記事を書くたびに在庫から引くだけになります。

この記事の次に読むと、運用が一段進みます

記事カレンダーがまだ固まっていない段階でも、ご相談いただいて構いません。今後3〜6か月で扱う予定のテーマ、撮影できる場所(オフィス・店舗・工場など)、写っていただける方のおおよその人数、使う先(オウンドメディアのほかに採用ページ・会社案内・営業資料に回すかどうか)の4つをお知らせいただければ、押さえるべきカットの一覧、ハーフとフルのどちらの枠で足りるか、連日割の適用可否、そして総額をお返しします。内製で足りる画像はそのように申し上げますので、外注の範囲を狭めたいというご相談でも構いません。

よくある質問

オウンドメディアの画像は、全部プロに外注したほうがよいですか

そうは考えていません。外注に倒す価値があるのは、自社の人・場所・製品が写る画像、一次情報の裏づけになる画像、複数記事と他媒体で使い回す画像、人物の顔が出る画像の4つです。概念図、比喩イメージ、スクリーンショット、手順の作業カット、使い捨ての時事ネタは内製で足ります。この5つを外注すると、修正のたびに時間がかかるという逆方向のコストが出ます。全部を外注するより、外注すべき画像だけに予算を寄せて、残りは社内で完結させるほうが運用は回ります。判断の順番は、実在性が要るかどうかと、何回使い回すかの2軸です。

ストック写真を使うのは、オウンドメディアでは避けたほうがよいですか

避ける必要はありません。向く用途がはっきりある手段です。章の切れ目に入れる比喩イメージ、業界一般の情景、本文の理解を助けるためだけに置く背景画像は、ストック写真で足ります。避けたほうがよいのは、自社の人・場所・製品が主語になる箇所と、一次情報であることが記事の価値になっている箇所にストック写真を当てることです。判定の仕方は、その画像を他社の記事に貼り替えて文章が成立するかどうかを考えることです。成立しないなら、ストック写真では代われません。なお、ストック写真は金額が小さく見えますが、条件に合う絵を探す時間が担当者の工数として消えます。ここも含めて比べてください。

生成AIで作った画像を記事に使っても問題ありませんか

法的な判断は、この記事では示せません。利用するサービスの規約と、生成された画像の内容と、公開の仕方によって考え方が変わるためです。最終的な判断は、自社の法務部門または顧問弁護士のご確認によってください。運用上の整理としては3点あります。1つは、使うサービスを1つか2つに絞り、その規約を一度法務に通して社内ルールとして文書化すること。2つめは、記事側のキャプションで「イメージ(AI生成)」のように生成物であることを明示すること。3つめは、向かない対象に使わないことです。自社製品、実在の人物、実在の場所、数値や固有名詞が入る図は、生成AI画像には向きません。

社員をスマートフォンで撮った写真を、記事に使ってもよいですか

用途によります。その回限りの速報(社内イベントの様子など)であれば、鮮度が価値なので社内撮影で問題ありません。一方、社員紹介やインタビューのように顔が主役になる画像、そして複数記事や採用ページでも使う画像は、外注に倒すほうが後が楽です。理由は2つで、顔は光の条件で印象が変わるため社内撮影では記事ごとに仕上がりがばらつくこと、もう1つは公開範囲の同意を先に整理しておく必要があることです。同意の用意については、モデルリリースの記事に整理してあります。なお、同じ社内撮影でも、手元の作業カットや画面のキャプチャは内製で足ります。分岐は機材ではなく、顔が出るかどうかと使い回すかどうかです。

記事20本分の画像をまとめて撮るには、どれくらいの撮影枠が要りますか

枠は記事の本数ではなく、場所の数と被写体のジャンル数で決まります。1か所で1〜2ジャンル(たとえばオフィス内の職場風景と手元カット)ならハーフ(半日・4時間枠)60,000円+税=66,000円で足ります。複数フロアや複数拠点を回る、人物と場所と製品の3ジャンルを1日で押さえるといった場合はフル(1日・8時間枠)120,000円+税=132,000円です。人物の個人カットが多い場合の目安は、ハーフで最大20名、フルで最大40〜50名です(進行担当者の配置と、事前の撮影スロット作成が適用の条件になります)。連続する日程で複数日発注される場合は、合計から一律10%の連日割が適用されます。記事のテーマと撮影場所をお知らせいただければ、必要な枠をお出しします。

目次