免税事業者のカメラマンに発注するとき、経理はどう処理するか

結論から言うと、免税事業者のカメラマンに発注したときの経理処理は、帳簿に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を一行足し、区分記載請求書等と同じ記載事項がある請求書を保存すれば完了します。変えるのは仕訳の型と支払フローの確認手順だけです。そして2026年10月1日から、控除できる割合が80%から70%に下がります。

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免税事業者のカメラマンに発注したとき、経理は何をすれば処理が完了するのか

TAX EXEMPT ACCOUNTING

オフィスで契約書と請求書を確認する経理担当者 / 撮影現場でカメラマンと打ち合わせをするビジネスシーン

免税事業者とは、消費税の納税義務が免除されている事業者のことです。適格請求書発行事業者として登録していない個人カメラマンは、登録番号のない請求書を発行します。この請求書を受け取った発注企業は、原則として仕入税額控除ができません。ただし一定期間は、仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられています。

経理担当者が実際に手を動かすのは、次の4か所です。請求書を受け取ったときの確認、会計ソフトへ入力するときの税区分の選び方、帳簿への「経過措置の適用を受ける旨」の記載、そして年に一度、控除割合が切り替わるタイミングの確認。この4つを社内の手順書に落とし込めば、免税事業者への発注そのものをやめる必要はありません。

この記事は、発注部門と経理を兼ねている管理部門の担当者に向けて書いています。撮影を頼んだカメラマンから登録番号のない請求書が届き、これをどう処理すればよいのか手が止まっている、という場面を想定しています。制度そのものの背景や、免税事業者に発注し続けるかどうかという方針の話はインボイス制度で個人カメラマンへの発注はどう変わったかにまとめてあるので、そちらとあわせて読んでください。この記事では、経理の手元の作業に絞ります。

なお、以下の内容は国税庁が公表している一般的な取扱いの整理です。自社の経理方式や課税売上割合によって処理は変わります。最終的な判断は顧問税理士、または所轄の税務署にご確認ください。

経過措置の控除割合は2026年10月1日から70%に下がる|令和8年度税制改正で期間も延びた

免税事業者等からの課税仕入れについて控除できる割合は、2026年(令和8年)10月1日から80%が70%に下がります。あわせて経過措置の適用期限が2年間延長され、70%・50%・30%と段階を踏んで、2031年(令和13年)10月1日以降は控除できなくなります。これは令和8年度税制改正による見直しで、改正前は「2026年10月から3年間50%」の予定でした。古い資料を見ている場合は数字が変わっているので注意してください。

期間控除できる割合和暦
2023年10月1日〜2026年9月30日仕入税額相当額の80%令和5年10月1日〜令和8年9月30日
2026年10月1日〜2028年9月30日仕入税額相当額の70%令和8年10月1日〜令和10年9月30日
2028年10月1日〜2030年9月30日仕入税額相当額の50%令和10年10月1日〜令和12年9月30日
2030年10月1日〜2031年9月30日仕入税額相当額の30%令和12年10月1日〜令和13年9月30日
2031年10月1日以降経過措置なし(原則として控除不可)令和13年10月1日以降

出典は国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問113(令和8年4月改訂)と、国税庁「令和8年度税制改正特集」です。控除割合の切り替わりは10月1日で、事業年度の開始日ではありません。3月決算の会社であれば、期の途中で税区分が切り替わることになります。

もうひとつ、同じ改正で入った変更があります。同じ相手からの経過措置対象の課税仕入れの合計額が一定金額を超えると、超えた部分には経過措置を適用できないという上限です。2026年10月1日以後に開始する課税期間では、この金額が税込10億円から税込1億円に引き下げられました。撮影費だけでこの水準に達する企業はまれですが、判定は「一の免税事業者等ごと」に、その年または事業年度の合計額で行います。同じフリーランスに継続的に大きな金額を発注している場合は、撮影以外の取引も合算して見ておくほうが安全です。

2026年9月末までに、社内で確認しておきたい一点

会計ソフトの税区分は「控除80%」の状態で運用されているはずです。10月1日以後の課税仕入れは「控除70%」に切り替わります。多くの会計ソフトは自動で切り替わる設計になっていますが、独自の摘要文言や仕訳テンプレートを社内で作り込んでいる場合、「80%控除対象」という文字列だけが残ることがあります。帳簿の摘要は控除の要件に関わる部分なので、9月中に一度、どこに「80%」と書かれているかを洗い出しておくと、10月以降の入力で迷いません。

税抜10万円の撮影を発注すると、控除できる額はいくら変わるか

税抜10万円(税込11万円)の撮影を免税事業者のカメラマンに発注した場合、控除できる消費税額は80%期間で8,000円、70%期間で7,000円です。1件あたりの差は1,000円で、自社が負担する消費税がその分だけ増えます。以下は一般的な計算例で、消費税等の額(税込金額×10/110)に控除割合を乗じた概算です。実際の申告では国税分と地方消費税分を分けて計算するため、端数の扱いが変わることがあります。

控除割合消費税等の額控除できる額控除できない額(自社負担)年12回発注した場合の自社負担
80%(2026年9月30日まで)10,000円8,000円2,000円24,000円
70%(2026年10月1日から)10,000円7,000円3,000円36,000円
50%(2028年10月1日から)10,000円5,000円5,000円60,000円
30%(2030年10月1日から)10,000円3,000円7,000円84,000円
0%(2031年10月1日から)10,000円0円10,000円120,000円

この表の読み方で大事なのは、金額の絶対値ではなく、増え方の傾きです。1件1,000円の差は稟議で議論になる水準ではありませんが、月1回の撮影を続けている会社では、5年後の自社負担が今の5倍になります。撮影の頻度が高い会社ほど、経過措置が終わる前提で発注先の構成を考えておく意味があります。

もうひとつ気をつけたいのは、控除できない分は「値引き」ではないという点です。カメラマンに支払う金額は11万円のまま変わりません。増えるのは自社が納める消費税です。社内で「免税事業者だと高くつく」という言い方が独り歩きすると、後述する価格交渉の危うい話に直結します。増えるのは支払額ではなく納税額だ、という整理を先に共有しておいてください。撮影費そのものの内訳をどう読むかは企業撮影の相場を、内訳まで全部公開するに分解してあります。

2026年9月に撮影して10月に請求書が届いたら、80%と70%のどちらか

控除割合は、請求書の日付でも支払日でもなく、課税仕入れを行った日で判断します。撮影のような役務の提供では、課税仕入れの時期は原則として「約した役務の全部が完了した日」です。9月中に撮影が完了していれば、請求と支払いが10月になっても80%で計算します。

この点は国税庁のQ&A問113-3(令和8年4月追加)に、まさに10月1日をまたぐ取引の例として書かれています。同じQ&Aでは、商品の仕入れの場合は引渡しのあった日で判定するため、9月21日から30日までの仕入れは80%、10月1日から20日までの仕入れは70%になる、という区分も示されています。

実務で判断が割れるのは、撮影日と納品日がずれるケースです。「撮影して納品するところまで」を委託しているのであれば、役務の全部が完了した日は納品日側に寄る、という読み方が自然です。ここは契約や発注書に書かれた業務範囲で決まる部分なので、9月から10月にまたがる案件があるなら、発注書の記載を先に確認しておいてください。判断に迷う金額規模であれば、顧問税理士に事実関係を渡して確認を取るのが早いです。

逆に言うと、2026年9月中に撮影を完了させれば80%で処理できます。年度内に予定している撮影を前倒しできるなら、9月に寄せるという判断はあり得ます。ただし9月は下半期に向けた採用サイトの更新や、上期の社内イベントが重なる時期で、カメラマンの日程は埋まりやすい月でもあります。前倒しを検討するなら、控除割合よりも日程の確保のほうが先に効いてきます。

免税事業者のカメラマンから届いた請求書は、どこを見ればよいか

見るのは2つです。登録番号があるかどうかと、区分記載請求書等と同じ記載事項がそろっているかどうか。経過措置を受けるために保存が必要なのは、適格請求書ではなく「区分記載請求書等と同様の記載事項が記載された請求書等」です。項目は次の5つです。

請求書に必要な記載事項撮影の請求書での見え方
書類の作成者の氏名または名称カメラマンの氏名または屋号。屋号だけの場合は、契約書・発注書と同一の名義かを確認する
課税資産の譲渡等を行った年月日撮影日、または納品日。月まとめ請求なら対象期間の記載でよい
取引の内容「◯月◯日 採用サイト用撮影一式」など。軽減税率の対象ではないので、その旨の記載は不要
税率ごとに合計した税込価額撮影費は10%対象のみになることがほとんど。「10%対象 110,000円」と税率区分つきで書かれているか
書類の交付を受ける事業者の氏名または名称自社の正式名称。宛名が「御中」だけ、空欄、担当者個人名になっていないか

登録番号は「T」+13桁の数字です。番号が書かれていれば、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで名義と一致するか照合できます。書かれていなければ免税事業者か、課税事業者だが登録していない事業者のどちらかで、経理処理は同じです。相手が免税事業者かどうかを個別に問いただす必要はなく、請求書に登録番号があるかないかで処理が決まります。

記載が足りない請求書を受け取ったときの扱いには、限定的な救済があります。国税庁のQ&Aでは、「軽減対象資産の譲渡等である旨」と「税率ごとに合計した税込価額」の記載がない場合に限り、受け取った側が自ら請求書に追記して保存することが認められています。それ以外の項目、たとえば宛名や取引年月日が抜けている場合は、追記ではなく発行し直してもらうことになります。撮影の請求書で実際によく抜けるのは宛名と税率区分なので、支払処理の前に見るならこの2か所です。

見積書の段階で登録番号と税率の書き方を確認しておくと、請求書の差し戻しはほぼ起きません。見積書で見るべき項目は撮影見積書の読み方|どこを見れば適正か分かるかに整理してあります。

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帳簿と仕訳で変えるのは「経過措置の適用を受ける旨」の一行

帳簿側の要件は、通常の記載事項に加えて「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を書くことです。国税庁は記載例として「80%控除対象」「免」を挙げています。この一行がないと経過措置の適用を受けられないため、事務としてはここが最重要です。帳簿に必要な項目は次の4つです。

  • 課税仕入れの相手方の氏名または名称(カメラマンの氏名・屋号)
  • 課税仕入れを行った年月日(撮影の完了日)
  • 課税仕入れに係る資産または役務の内容、および経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨
  • 課税仕入れに係る支払対価の額

「経過措置の適用を受ける旨」の書き方には、個々の取引ごとに「80%控除対象」「免税事業者からの仕入れ」と書く方法のほか、記号を使う方法も認められています。対象取引に「※」や「☆」を付けておき、帳簿のどこかに「※は80%控除対象」と表示する形です。取引件数が多い会社ではこちらのほうが運用しやすく、国税庁のQ&Aでも明示的に認められています。

会計ソフトを使っている場合、この記載は税区分の選択で自動的に処理されるのが一般的です。免税事業者からの仕入れ用の税区分(控除割合つきの課税仕入れ区分)を選べば、帳簿への表示と税額計算が同時に処理されます。手入力の摘要欄に自分で「80%控除対象」と打ち込む運用にしていると、10月以降に文言の直し漏れが出ます。税区分で持たせるほうが安全です。

税抜経理方式を採っている場合は、仮払消費税等として計上する金額が変わります。国税庁の消費税経理通達関係Q&A(問8)では、免税事業者からの課税仕入れについて、支払対価の額のうち経過措置で控除できる割合に相当する額を仮払消費税等として経理し、残額は取得価額に算入する、という考え方が示されています。撮影費のように費用計上する取引であれば、控除できなかった部分は費用の額に含まれることになります。税込経理方式であれば、支払額をそのまま費用計上するだけなので、この論点は生じません。自社がどちらの方式か、控除できない部分をどの勘定で受けるかは、顧問税理士の指示に合わせてください。

少額特例(税込1万円未満)は撮影費に使えるか

撮影費については、ほとんどの場合使えません。少額特例は税込1万円未満の課税仕入れが対象で、判定は一回の取引の税込金額で行うためです。撮影の発注が1万円未満で収まることはまず無く、交通費などの実費を撮影費と同じ請求書でまとめて受け取っていれば、合計額で判定されて対象外になります。

制度の要件は次のとおりです。対象になるのは、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者です。基準期間は法人なら前々事業年度、特定期間は前事業年度の開始の日以後6か月の期間を指します。納税義務の判定と違い、特定期間の判定を給与支払額の合計額で代用することはできません。適用対象期間は2023年(令和5年)10月1日から2029年(令和11年)9月30日までで、課税期間の途中であっても2029年10月1日以後の課税仕入れは対象外になります。

少額特例が使えると、税込1万円未満の課税仕入れについてはインボイスの保存が不要になり、一定の事項を記載した帳簿の保存だけで仕入税額控除ができます。相手が適格請求書発行事業者かどうかも問われません。撮影まわりで恩恵があるとすれば、単発で発生する小口の立替や備品購入のほうです。撮影費の処理をこの特例で片付けようとすると、金額判定の段階でつまずきます。

発注・稟議・支払フローで変えるところ|経理担当者のチェックリスト

制度対応は、請求書が届いてからでは間に合いません。発注の前段で確認しておけば、経理の作業はほぼ増えないまま処理できます。実際に社内の手順書へ落とすなら、次の項目を確認してください。

  • 見積り依頼または発注の段階で、適格請求書発行事業者の登録の有無を確認したか(確認すること自体は経理処理上必要な照会で、失礼にはあたらない)
  • 登録がない場合、控除できない消費税相当額を稟議書の総額に織り込んで説明したか
  • 発注書に業務範囲と完了時点(撮影日か納品日か)を書き、課税仕入れの時期が判断できる状態にしたか
  • 請求書の受領時に、宛名・取引年月日・税率ごとの税込価額・作成者名の4点を確認する担当を決めたか
  • 会計ソフトの税区分を、摘要欄への手入力ではなく税区分の選択で持たせているか
  • 2026年10月1日をまたぐ案件について、撮影の完了日がいつになるかを整理したか
  • 同じ免税事業者への年間の発注総額を、撮影以外の取引も含めて把握しているか
  • 控除割合が切り替わる時期を、年間の経理カレンダーに書き込んだか

稟議書の書き方には少しコツがあります。撮影費の稟議に「免税事業者のため仕入税額控除が70%」と書いても、決裁者には判断材料になりません。総額に対する自社負担の増分を金額で書き、代替案があるならその金額も並べる。この形にすると1行で判断できます。撮影費の稟議そのものの通し方は社内の稟議を通すための「撮影費用」の説明の仕方にまとめています。

私自身、元カメラマンとして個人事業主だった時代に、企業から直接撮影を受けていました。当時いちばん多かった質問は「請求書の宛名は部署名でいいですか」「振込手数料はどちらが持ちますか」といった支払いまわりのことで、税区分の話をされた記憶はほとんどありません。制度が変わってからは逆で、法人化して登録番号を持ってからは、発注企業の管理部門の方から「登録番号を教えてほしい」と最初のメールで聞かれるようになりました。聞かれて気を悪くする受注側はいません。むしろ、後から請求書を出し直す手間が減るので、早く聞かれるほど双方が助かります。

免税事業者への価格交渉でやってはいけないこと|独占禁止法・取適法・フリーランス新法

控除できる額が下がったからといって、その分をカメラマンへの支払額から差し引く、という進め方は避けてください。公正取引委員会は「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」で、免税事業者との取引について独占禁止法上または下請法上問題となり得る行為の類型を示しています。挙げられているのは、取引対価の引下げ、商品・役務の成果物の受領拒否や返品、協賛金等の負担の要請、購入・利用強制、取引の停止、そして登録事業者となるよう慫慂することの6つです。

問題になるかどうかの分かれ目は、交渉があったかどうかです。同Q&Aでは、再交渉が形式的なもので発注側の都合だけで著しく低い価格を設定した場合や、課税事業者にならなければ価格を引き下げる・取引を打ち切ると一方的に通告する場合が、問題となり得る行為として説明されています。逆に、双方が納得して価格を見直すこと自体が禁じられているわけではありません。数字を示して協議し、結果を記録に残す。この手順を踏むかどうかが実務上の線引きになります。

関連する法律の名前も、この2年で変わっています。フリーランス・事業者間取引適正化等法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は2024年11月1日に施行され、発注事業者には業務内容と報酬額等の書面または電磁的方法による明示、給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日の設定、6か月以上の業務委託を中途解除する場合の原則30日前までの予告などが求められます。また、下請代金支払遅延等防止法(下請法)は法律名が改められ、中小受託取引適正化法(取適法)として2026年1月1日に施行されました。適用対象の判定に従業員数の基準が加わるなど、範囲が広がっています。

これらは法的な判断を伴う領域なので、社内の対応方針を決める前に顧問弁護士・顧問税理士に確認してください。この記事で言えるのは、経理の処理を軽くしたいという動機で支払条件を一方的に動かすと、税務とは別の問題を抱え込む可能性がある、という一点です。免税事業者のカメラマンに発注し続けること自体は、まったく問題ありません。

付け加えると、社内の誰かの紹介で「知り合いのカメラマン」に頼んでいる場合、その方が免税事業者であるうえに、契約書も発注書もない状態になっていることがあります。税区分より先に整理すべき論点があるかもしれません。その場合は「知り合いのカメラマン」に頼むリスクを冷静に整理するを先に読んでおいてください。

適格請求書発行事業者に発注すると、経理の作業はどこまで減るか

適格請求書発行事業者に発注した場合、この記事で説明した作業のうち、経過措置の判定、帳簿への「経過措置の適用を受ける旨」の記載、控除割合の切り替わりの管理、控除できない消費税相当額の処理が不要になります。残るのは通常の請求書チェックだけです。作業量で言えば、免税事業者への発注1件あたり数分の差ですが、件数と担当者の入れ替わりを考えると、手順書の分岐が1本減る意味は小さくありません。

ここで判断が要るのは、税区分だけで発注先を決めるわけにはいかない、という点です。撮影の品質、当日の進行、代替体制、納期。これらのほうが撮影の成否には効きます。控除できない消費税相当額は、税抜10万円の撮影で3,000円です。この3,000円のために、実績のあるカメラマンを外すかどうかは別の話になります。判断の順番としては、まず撮影の要件で選び、同等の候補が並んだときに税区分を見る、という並べ方が現実的です。

もうひとつの選択肢が、適格請求書発行事業者である会社に窓口を一本化する方法です。手配会社やエージェントを通す形にすると、実際に撮影するカメラマンが免税事業者であっても、請求と契約の相手は会社になります。発注側が免税事業者の判定や経過措置の処理を抱えなくて済むのは、この構造によるものです。会社・個人・エージェントで何が変わるかは撮影会社と個人カメラマンとエージェント、どう違うのかで比較しています。

まとめ|経理が変えるのは帳簿の一行と、切り替わり時期の管理だけ

免税事業者のカメラマンに発注したときの経理処理は、区分記載請求書等と同じ記載事項がある請求書を保存し、帳簿に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を記載すれば完了します。控除割合は2026年10月1日から80%が70%に下がり、2028年10月から50%、2030年10月から30%、2031年10月以降は控除できません。どの割合を使うかは請求日でも支払日でもなく、課税仕入れを行った日、撮影であれば約した役務の全部が完了した日で判断します。あわせて、2026年10月1日以後に開始する課税期間からは、同じ相手からの経過措置対象の課税仕入れが税込1億円を超えた部分に経過措置を使えなくなります。税込1万円未満の少額特例は、撮影費ではほぼ使えません。そして、控除が減った分を支払額から一方的に差し引くことは、独占禁止法や取適法、フリーランス新法の観点から避けるべき進め方です。制度の一般的な取扱いはここまでで、自社に当てはめた最終判断は顧問税理士・顧問弁護士、または所轄の税務署にご確認ください。

私たち日本プロカメラマン手配は、企業専門のカメラマン手配サービスです。運営は株式会社ファーストブレイク(横浜市中区)、代表の私・宮崎大地は元カメラマンです。2012年の創業から、法人とのお取引は300社を超えました。全国の登録カメラマンから用途に合う人を選んでアサインし、打ち合わせ、当日の進行のディレクション、納品までを窓口として引き受けています。適格請求書に対応しており、インボイスの登録番号はT2020001106718です。ご請求は当社からの1本にまとまるため、実際に撮影するカメラマンごとに登録の有無を確認する必要はありません。料金はカット数ではなく拘束時間で組み立てており、ハーフ(半日・4時間枠)が60,000円+税=66,000円、フル(1日・8時間枠)が120,000円+税=132,000円です。延長は30分ごと8,580円(税込・30分単位で切り上げ)。標準機材と商用利用権は基本料金に含まれ、諸経費(交通費・スタジオ代など)は実費のパススルーで当社の上乗せはありません。お支払いは請求書払い(銀行振込)が基本で、カード決済は小口・単発向けのオプションとしてご用意しています。料金の内訳は料金ページで公開しています。

この記事の次に読むと、判断が一段進みます

経理処理の手順が決まったら、次は発注そのものの設計です。

発注先が免税事業者かどうかで経理の手順が分かれるのが煩わしい、という段階でしたら、窓口を1社にまとめる形もご検討ください。当社は適格請求書発行事業者として登録しており(登録番号T2020001106718)、ご請求は当社からの1本にまとまります。撮影日と場所、撮影する人数、写真の用途をお知らせいただければ、どの枠が必要か、諸経費がいくらになるかまで書き出してお見積りをお出しします。稟議に添付できる形式でお送りすることもできますので、社内で比較する材料としてお使いください。

よくある質問

免税事業者のカメラマンに発注したとき、経理は何をすればよいですか

請求書の保存と、帳簿への一行の追記です。保存するのは、作成者名・取引年月日・取引内容・税率ごとの税込価額・自社の宛名が書かれた請求書で、適格請求書である必要はありません。帳簿には通常の記載事項に加えて「80%控除対象」「免」など、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を記載します。会計ソフトでは、免税事業者からの仕入れ用の税区分を選ぶことでこの記載が処理されるのが一般的です。個別の判断は顧問税理士にご確認ください。

2026年10月から控除できる割合は何%になりますか

70%です。2023年10月1日から2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2028年9月30日までが70%、2028年10月1日から2030年9月30日までが50%、2030年10月1日から2031年9月30日までが30%で、2031年10月1日以降は経過措置がなくなります。令和8年度税制改正で期間が2年延長され、割合も見直されました。改正前の「2026年10月から50%」という記載がある資料は古いものなので、国税庁のQ&A問113で最新の表をご確認ください。

2026年9月に撮影して10月に請求書が届いた場合、控除割合は80%と70%のどちらですか

課税仕入れを行った日で判断するため、9月中に撮影が完了していれば80%です。役務の提供を受けた場合の課税仕入れの時期は、原則としてその約した役務の全部が完了した日とされています。請求日や支払日ではありません。撮影と納品で日付が分かれる場合は、発注書に書かれた業務範囲によって完了日の考え方が変わるため、10月1日をまたぐ案件は先に発注書の記載を確認してください。判断に迷う場合は顧問税理士にご相談ください。

撮影費に少額特例は使えますか

ほとんどの場合使えません。少額特例の対象は税込1万円未満の課税仕入れで、判定は一回の取引の税込金額で行うためです。撮影費が1万円未満で収まることはまれで、交通費などの実費を同じ請求書でまとめて受け取っていれば合計額で判定されます。制度自体は、基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、2029年9月30日までの課税仕入れについて使えるものです。

控除が減った分をカメラマンへの支払額から差し引いてもよいですか

一方的に差し引く進め方は避けてください。公正取引委員会のQ&Aでは、免税事業者との取引について、取引対価の引下げ、受領拒否・返品、協賛金等の負担の要請、購入・利用強制、取引の停止、登録事業者となるよう慫慂することが、独占禁止法上または下請法上問題となり得る行為として整理されています。再交渉が形式的で発注側の都合だけで著しく低い価格を設定した場合などが問題とされています。協議して合意すること自体は禁じられていませんので、数字を示して話し、結果を記録に残してください。法的な判断を伴うため、方針を決める前に顧問弁護士にご確認ください。

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